VOCALOID2が国際的に展開!?
――まだまだ盛り上がりが続くVOCALOID2ですが、皆さんにとって彼女たちの存在はどういう位置づけなのでしょう。発売してから変わったことがありましたか?
下田麻美 (しもだ・あさみ) |
藤田「変わったというかはわかりませんが、『やっぱり、私がやった仕事なんだ』と思えるようになりました。最初はホント、世間の熱についていけなくて、人から『ミク、すごいね』といわれても『そうなのかな。本当なのかな?』と思ったり、『私とミクの関係はどうあるべきか』と妙に考えてしまったり、たくさんインタビューを受けていても、浮遊感があるままで受け答えをしていました。戸惑っていたんだと思います。でも、これがもし……もし、ですけど藤田咲が声を入れなかったら、こうならなかったかもしれない。『だから、これは藤田咲の仕事の結果でしょ?』って、人からそういわれたときに『あ、そうか』と感じたんです。なんだか浮いていた自分がちゃんと着地できたようで、途端に、誇らしい気持ちを持てるようになりました。人に影響を与えられる作品と出会えるチャンスって、人生にそう何度もあることじゃないですよね。だからこそ、ミクと出会えて本当によかったと思います」
下田「めぐりあい……なんだろうな。大げさですが声優にとっても、新たな時代を切り開いてくれた、新しい可能性を感じさせてくれた存在だと思います。動画投稿サイトが広まっていた時期のよさもあったと思いますが、歌わせることだけじゃなくて、彼女たちを一人一人のユーザーさんが、いろんな視点で見てくれている。音楽もそれと一緒で、彼女たちを通していろんな音楽が生まれ、カラオケになったり、CDが発売されたりするわけじゃないですか。先日、リン・レンの歌をカバーする企画をさせていただいて、それはまったく想像していなかったことでした。広がりをひとつひとつ確認していくにつれて、きっとまだ私の想像しないことが生まれてくると思います。楽しみをたくさん乗せているソフトだな、と思っています。よしっ、うまくまとめた!」
――浅川さんの場合はまだ発売されたばかりですが、巡音ルカの影響や彼女への思いはありますか?
浅川「ブログのヒット数がすごく上がった。せっかくこっそりやっていたのにー。ばっーと人が訪れて、また下がって、なんだよーみたいな(笑)。私は産み落とした子どもみたいな感じでいます。声が2人と被っていなければ、私じゃなくてもよかった、ということが正直、頭にある。普通のアフレコはお芝居が評価される。アニメだと声優さんの人気がアニメ自体の人気を底上げする部分がありますが、VOCALOID2に関してはその逆ですよね。キャラクターの人気が先にあって、後から声優の人気が出る。元々話題になっていたことに、たまたま私にチャンスがあったから声を入れただけ。あんまり巡音ルカが自分だという意識はないので、できればユーザーさんは声を出している私を意識しないで、あとは一人歩きしてくれたらいいなと思います。ええと、なにがいいたいかというと、ラッキーでした(笑)。ルカのおかげで英語ができることがようやく認識されたので助かってます」
――日本での人気だけじゃなく、国際的に広がる可能性もありますね
浅川「そうですね。ルカって男の子の名前なんだけど大丈夫かな。キリスト教の聖人の名前。スターウォーズのルーク・スカイウォーカーのルーク」
藤田「そうだったんですか! じゃあ、外国の方からしたら『ヘイ、コノヒトハ、ジョセイナノカイ?』ってなるんでしょうか?」
下田「えー、まったく気がつかなかった。でも、その辺も妄想の材料になって人気が出たりするんじゃないですかね」
浅川「そっちで! なんだよ、そっちのバイリンガル?」
藤田&下田「あはははは」
浅川「でも、そういうふうに広がることはありがたいです。アニメファンのなかでは人気のある作品でも、普通の人は『ドラえもん』とか『サザエさん』しか知らなかったりする。どんな仕事しているのと聞かれたら、『今、人気のこれ~』といえるのは結構うれしい」
――こういう歌を作って欲しい、という思いはありますか?
浅川「ホームページにあるサンプルの曲はいいなぁと思いました。賛美歌とか、あとはゴスペルみたいなものも似合いそう」
藤田「ミクはもうなんでも、いっぱいありますが、多分、皆さんは『まだまだ俺には彼女の可能性を握っているぜ』と思われているはずなので、『これお願いします』というよりは『次はどんな作品ができるのかな』と、完全に受け身でいます」
下田「私が明るくてポップな曲が好きなので、リンちゃんやレンちゃんにも似合うと思うんですよ。聴くと私自身もホッとする。お仕事としてはパワフルで元気を求められることが多いから、彼女たちもそうなのかなぁ、と。いろんな曲を聴かせていただいて、そう感じています。とにかく元気を見せて欲しい。私よりも何百倍も歌えるので、これからも皆さんに元気を届けて欲しいなと思います」
浅川「外人さんが作った曲を聴いてみたいかな。ニコニコ動画だと、レンちゃんがいじられキャラになっていたり、もう設定が出来上がっている部分があるじゃないですか。そういうのをまったくナシで、向こうの人の感性で作っているのを聴いてみたい。イベントとかで外人さんがいたら盛り上がりそうじゃないですか。あ、でも、ルカの人気がなくて、外人さんが『ミク、ミクっ!』としかいわなかったらショックだなぁ」
――藤田さんも下田さんも英語を勉強する必要に迫られますね
藤田「練習しろっていわれているんですど、先生を紹介してもらわないと……」
浅川「教えます。頑張ります」