ペン
タブレットペンの設定は、Intuos3と同様であり、設定画面上での大きな違いは無い。ただ、ペン自体は後述するON荷重機能の向上で更に進化を遂げている。
基本的にハードウェア的な機能が優れていてもペンタブレット自体の書き味、すなわち感触のようなものがチープな作りの製品では、クリエイターは見向きもしない。多くのクリエイターからの様々なリクエストを受けているワコムの集大成とでも言うべきIntuos4は、その点、デフォルト環境だけでも十分に満足のいく仕上がりとなっている。例えばペンと連動する「オーバーレイシート」の部分は「マットタイプオーバーレイシート」になり、ペン先との親和性は更に高まってきた。もちろん従来のように個々のユーザーが独自のシートを乗せて使うことも問題ない。
常に筆圧にさらされるペン先を強固にすると同時に、柔らかさを保つ絶妙の仕様をマットタイプオーバーレイシートとペン先の改善で実現している。具体的には、読み取り可能な高さが6mmから10mmへ、筆圧レベルが1,024から倍の2,048レベルへと機能アップされている。ちなみにIntuos3とIntuos4のスペックで大きく変更されているのはこの2点だ。
※Windowsの場合、2,048レベル筆圧機能に対応したアプリケーションソフトでのみ有効。ドライバの筆圧機能の初期設定は1,024レベルとなっており、2,048 レベル筆圧機能対応アプリケーションソフトで使用する場合は、ドライバの設定変更が必要になる。Mac OS Xの場合、アプリケーションソフトは自動的に2,048レベル筆圧機能に対応する。
ワコム製ペンタブレットは、ペンをタブレットにつけた時にスイッチの入るON荷重という仕組みを採用している。それにより、コードレスでの使用を実現している。この仕組みについてカタログスペック表などでは特に触れられていないが、これこそが描き心地に大きく寄与している。
ON荷重の具体的な数値は、Intuos3では約10gだったが、Intuos4は更にデリケートとなり、最小1gの力でスイッチが入り、描きだすことができるように改善されている。そのため、ペンの入りや抜きなどのデリケートな表現の幅が出やすくなっている。しばらく描き続けていて劇的に違う書き味が筆圧レベルの変化だけでなく、ON荷重にも影響していることを実感することが出来る。言葉だけで説明すると抽象的になりすぎてしまうが、実際に試してみれば、そのデリケートな書き味に驚きを隠せないはずだ。
なお、Intuos4から専用マウスはオプション扱いとなった。これは従来のIntuosでは、3Dソフトなどで正確な位置をピンポイントでプロットしたい場合に不向きだったペンタブレットの補完的な意味合いであったと解釈している。しかし、Intuos4では、ファンクションキーの初期の設定に入っている「プレシジョンモード」を押すことで一時的にペンの移動距離の尺度を変えることで対応可能となり、実質的にマウスは必要なくなった。この一時的に尺度を変えるプレシジョンモードは精度の高いIntuos4には必要不可欠な機能である。
1998年に登場したIntuosから、Intuos2(2001年発売)、Intuos3(2004年発売)と全てのIntuosシリーズを使い続けてきた筆者にとって、Intuos4は過去最大級の衝撃となった。デザインの美しさもさることながら、使いやすくなったファンクションキーやタッチホイール等、もうこの使い心地を知ってしまうと元の環境には戻れない。