930SC OMNIA

それから3年ほど経ち、最近では日本市場で求められる水準をクリアした上で、我々らしさを表現できるチャレンジもできるようになってきました。そのひとつが、昨年発売した「930SC OMNIA」です。日本市場における要求を満たすため、グローバルモデルで採用していたWindows Mobileではなく、当社独自プラットフォームの上に機能を作り込み、液晶ディスプレイも高解像度のものを採用しました。正直を申し上げると、年末商戦でもう少し売れてもよかったかな……という気持ちはありますので、春商戦でより盛り上がっていてくれると嬉しいのですが、フルタッチ携帯というところが若干ハードルになっているのかもしれません。

――日本市場では、今後どのような種類の製品に力を入れていく予定でしょうか

これまでご好評いただいている、主要な機能をお求めやすい価格でご提供するベーシックな機種は、引き続き新製品を開発していきたいと思います。加えて、先進的なユーザーの方にも満足いただけるようなハイエンドの機種についても、日本で発売できればと思っています。しかしこの不景気で、世界的に端末の販売台数は下がる傾向にありますし、キャリアさんのARPU(1ユーザーからの平均収入)も伸びないとあって、今後コストに対する要求はより厳しくなると考えています。そうすると、日本独自のハイエンド機種を用意するのは難しくなります。

ただ今後は、カスタマイズしやすいオープンプラットフォームを採用した製品が増えてくると思います。そこで、そのようなオープン系のハイエンド機種を日本向けに提供するというのはひとつの方法だと考えています。開発コストを抑えながら、Samsungらしさも出していける。実現できるかはまだ分かりませんが、いずれにしても、日本市場においてもそういった何らかの特徴のある機種を投入していきたいと考えています。

――Samsungらしさが表れる携帯電話というのは、端的に言ってどのような製品なのでしょうか

Mobile World Congressで登場した新機種をご覧いただいても分かるように、弊社では現在、タッチ携帯にかなりの力を注いでいます。例えば、東南アジア市場で販売される弊社の携帯電話は、既に15%以上がタッチパネル搭載の機種となっています。高機能機種に限れば、その割合はさらに高くなります。タッチ携帯が今後伸びていくのは世界的な流れと言ってよく、他社の新製品を見ても、戦略的な機種はみなタッチパネルを搭載しているのがお分かりいただけると思います。