IE8/Firefox/Chromeのベンチマーク

IE8では、HTMLレンダリングエンジンの改良により、HTMLページの表示スピードや、JavaScriptの実行速度が大幅に向上した、とMicrosoftはアナウンスしています。確かにCSS2.1の準拠など目を見張る改良点も多いですが、ここではIE7からIE8へ乗り換えを悩んでいるユーザー向けとして、表示速度をはじめとするベンチマークを行なってみることにしました。今回はHTMLレンダリングエンジンとJavaScriptエンジンに対象をしぼるため、他のWebブラウザは独自エンジンを用いたMozilla Firefox 3.07と、Google Chrome 1.0154.48の2種類に限定しました。ご了承ください。

ベンチマークを実行したマシンは、以下の表に示したコンピュータ上でVMware Workstationを実行。ゲストOSは1GBのメモリを割り当てたWindows Vista SP1 32ビットを使用しています。インターネット接続環境は、Bフレッツハイパーファミリー(100Mbps)にAterm WR8200Nをルーターとし、スイッチングハブ経由でコンピュータを接続しました。

CPU Intel Core2 Quad Q9550
マザーボード Gigabyte GA-EP45-UD3P
メモリ 8GB(DDR2-800)
グラフィック NVIDIA GeForce 9600 GT
HDD ST3500320AS(500GB)
OS Windows Vista SP1 64ビット版

ベンチマークツールは、Webページの読み込み時間を計測するWebmonkey Stopwatchを用いて、本誌と、Microsoft.comGoogleニュースの3サイトに対し、アクセス時間を測定してみました。JavaScriptエンジンは、SunSpider JavaScript Benchmarkと、V8 Google Codeを用いて測定しています。結果はご覧のとおり(図42~44)。

図42: Webmonkey Stopwatchを用いた3サイトへの測定結果。単位はミリ秒です

図43: SunSpider JavaScript Benchmarkを用いた測定結果。単位は秒です

図44: V8 Google Codeを用いた測定結果。単位はポイントです

表示スピードを見ますと、IE7とIE8を比べると大きく向上しているのがわかります。スピードを主眼としたGoogle Chromeがもっとも速いのは当たり前ですが、Mozilla FirefoxがIE8よりも遅いのは意外でした。また、JavaScriptベンチマークでは、IE7に比べると処理速度も向上していますが、Mozilla FirefoxとGoogle Chromeには後塵を拝しています。V8 Google Codeを用いたベンチマークは、元々Google Chromeのために存在するため、公平性を若干欠きますが、それでもベンチマークの結果は、SunSpiderそれとほぼ同等。全体的なパフォーマンスを鑑みると、IE7と比較すれば大きく進化したIE8は、次世代Webブラウザとして十分な能力を保持しているといっても過言ではないでしょう。

阿久津良和(Cactus)