導入自体は簡単ですが、導入後の設定ウィザードが若干煩雑なため、順を追って説明しましょう。まずは一連のセットアップウィザード画面をご覧ください(図6~13)。
図6: 再起動後にIE8を起動しますと、セットアップウィザードが起動します。各種設定を行なうため、<次へ>ボタンをクリックしてください |
図7: 履歴を元にWebサイトの候補を生成する「おすすめサイト」に関する設定をうながされます。同機能を使う場合は<はい~>にチェックを入れ、<次へ>ボタンをクリックしてください |
最初のポイントは「おすすめサイト」。同機能は過去のアクセス履歴からから類似するWebサイトを表示するという機能。一見するとパフォーマンスダウンが著しく発生しそうですが、Webサイトの履歴情報をMicrosoftに送信し、サーバー側で類似サイトをピックアップするため、そのような問題は発生しません。ただし、Microsoftのプライバシーポリシーを踏まえると個人を特定されないように配慮されているようですが、それでも閲覧情報が外部に送信されることは事実ですので、好ましく思わない方は同機能を無効にすることをお薦めします。
次は「検索プロバイダ」機能。IE7を使っていた方には目新しいものではなく、IEの右上に鎮座する検索ボックスで用いる検索サイトを選択するというもの。IE7からIE8へバージョンアップした場合、それまで使用していた検索プロバイダが引き継がれますので、必要に応じて変更してください。また、セットアップウィザードで<セットアップ後、他の検索プロバイダーを選択できるWebページを表示する>を選択しますと、文字どおり検索プロバイダのリストページが表示されますので、お好みの検索サイトを登録しましょう(図14~15)。
図14: 先のセットアップウィザードで<セットアップ後~>を選択しますと、検索プロバイダのリストページが表示されます。登録する検索サイトをクリックし、各項目にチェックを入れてから<追加>ボタンをクリックしてください |
「アクセラレータ」機能は、Webページ上で任意のテキストを選択して、同文字列を元に外部プログラムやWebサイトへアクセスするというもの。Microsoft Excelに用意されたスマートタグを連想するとわかりやすいでしょう。Webページ閲覧中に、意味がわからない英単語を翻訳する場合、通常は翻訳サイトにアクセスし、英単語をコピー&ペーストした後に翻訳を実行という手順が必要でした。しかし同機能があれば文字列を選択し、タグをクリックして表示されるメニューから項目を選択するだけで目的の検索結果が表示されます(図16~19)。
図16: 先のセットアップウィザードで<セットアップ完了後に~>を選択しますと、アクセラレータギャラリーが表示されます。各カテゴリから設定するアクセラレータをクリックし、<追加>ボタンをクリックします |
SmartScreenフィルタ機能は、マルウェアやフィッシング詐欺を仕掛けたWebサイトからコンピュータを防御する機能。こちらも基本的にはIE7と同じく、危険と判断したサイトをMicrosoft側で情報収集し、データベースに格納。ユーザーがアクセスするときは、そのデータベースと照らし合わせ、危険なWebサイトへのアクセスを未然に防ぐというもの。つまり、Microsoft側にWebサイトが登録されていないと意味をなさないため、過信は禁物。また、動的なWebページを生成するアプリケーションのセキュリティホールを狙って悪意のあるスクリプトを仕掛けるXSS攻撃にも対応しました(図20~23)。
最後は互換設定。IE6からIE7へバージョンアップが行なわれたときは、Webページのレイアウトが崩れる、サイト管理者が意図した機能が働かないなど、互換性に起因する問題が話題になりました。IE8ではこの点を改善するため、HTMLレンダリングの動作を変更する互換モードを用意しました。具体的には、IE5に相当するQuirks(クワークス)モードと、IE7相当のIE7標準準拠モード、そしてIE8モード。Webサイト管理者は、HTML内のX-UA-Compatibleヘッダを使用して各モードを指定できます。ユーザーはWebサイト管理者の意図を無視し、任意のWebサイトを互換モードで閲覧する設定が可能。社内ネットワークに設置されたイントラネットによっては、IE6までしかサポートしていないものもあり、IE7へのバージョンアップを禁止していた会社もありますが、同機能によりIE8に搭載された新機能の恩恵を受けつつ、社内ネットワークへのアクセス環境も維持できるといったことが可能になります(図24~26)。