数あるコンポーネントのなかでも注目株がBluetooth 2.1のサポート。従来は煩雑だったBluetooth機器同士のペアリングが容易に行なえるようになりました。この背景にはバージョン2.1で導入されたSSP(Simple Secure Pairing)技術の存在があります。従来は四桁以上の数字(PINコード)を使用時に入力しなければなりませんでしたが、SSPの登場により、デバイス側でPINコードを自動生成し、ユーザー操作は各デバイスで確認するだけで済むというもの(図2)。
各Bluetoothデバイスは、いずれもバージョン2.1に対応していなければなりませんが、その他のBluetoothデバイスでもペアリングを容易にするため、無線LAN接続に用いられているWCN(Windows Connect Now)が採用されています。Bluetoothデバイスの検索からペアリング時もデバイスによってはPINコードを入力せずにするため、SSPをサポートしていないBluetooth 2.0環境でも、Bluetoothデバイスの扱いは今まで以上に簡単なものとなるでしょう(図3)。
もうひとつ、Blu-Ray関連機能ですが、そもそもWindows Vistaは当初からBlu-Rayディスクの読み込みに対応しています。今回の新規サポートはエクスプローラ経由の書き込み機能であり、Windows Vistaが備えているパケットライティング書き込みを、BD-R/REで実現したというもの。まだまだ普及したとは言い難いBlu-Rayデバイスだけに、この新機能から恩恵を受けるユーザーは少ないのではないでしょうか。
ハードウェア系の改良のなかでは、無線LANのパフォーマンスの方が有益でしょう。本改善点はスリープモードから復帰した際に無線LAN接続の確立パフォーマンスを改善したというもの。数値的に示しにくいですが、Windows Vista Server Pack 1によるスリープモードからの復帰スピード改善と相まって、スリープモードや無線LANを多用するノートPCには大きなメリットとなります。
OS面ではWindows Search 4.0の搭載が大きなポイント。そもそもWindows Search 4.0はデスクトップ検索としてMicrosoftが無料提供しているツールですが、Windows Vistaにはクイック検索をはじめとするWindows Search機能があらかじめ備わっています。具体的には、MSNデスクトップサーチ3と互換性を持つ機能のため、既に旧バージョン。今回の改良は同機能のコアを、Windows Search 4.0に搭載された新エンジンに置き換えるというもの。
また、LAN上にある共有フォルダを検索対象にするリモートクエリ機能も備わっており、一度リモートコンピュータ側にあるインデックス情報の参照を行なうと、それを元に検索操作を行なうようになります。ローカルディスクの検索にはかないませんが、操作的にはローカルファイルの検索を行なっているような感覚で操作できるはずです(図4~5)。
図5: こちらはWindows Search 4.0を導入したWindows Server 2003上でのProcess Monitorによる監視結果。キーワードを入力しますと、サーバー側でインデックスファイルの参照が行なわれているのが確認できます |
個人的にはWindows Search 4.0から加わった、UNC名によるターゲットフォルダの追加機能が見送られたのは実に残念。リモートクエリとは異なり、ローカルディスクのインデックスに共有フォルダの情報を納めるという旧来型のアプローチですが、デスクトップPCなど常にネットワークに接続している環境で使うのであれば利便性も高まります。もちろん、Windows Vista用Windows Search 4.0を導入すれば解決するのかもしれませんが、できるだけ標準機能だけで完結させたい筆者としてはやはり残念です(図6~7)。