PhysXの効果を確認
ご存知の通りNVIDIAはGeForce 8800シリーズ以降、GPUに3Dグラフィックス処理用の「GPUモード」と、CUDAを動作させるための「GPGPUモード」の2つの動作モードを備えており、さらに、これの切り替えはドライバレベルでシームレスに行われる。シングルGPUで一部をGPUモードに割り当て、残りの部分をGPGPUモードとして動作させることも可能だ。マルチGPU構成にして、ひとつのGPUはGPUモード専用、もうひとつのGPUはGPGPUモード専用といった使い方もできる。
現在、コンシューマユーザーに一般的なGPGPUモードの活用法としては、「PhysX」が盛り上がりつつある。こちらのレビュー記事でも紹介しているが、PhysXドライバが統合されているGeForceドライバを導入するだけで簡単に使い始めることができる。PhysXの実際の有効化設定も、NVIDIA Control Panelの「Set PhysX Configuration」の項目からオン/オフの設定を行うだけと手軽である。
さて、G92コアのGeForce GTS 250と、G200コアのGeForce GTX 260では、このGPGPUモードのパフォーマンスに違いがある筈だ。3DMark Vantageのテスト項目のうち、物理シミュレーションのテストであるCPU TEST 2がPhysXに対応しており、GeForce PhysXで処理をアクセラレートすることが可能となっている。ここのスコアでパフォーマンスの違いを比較してみたい。
グラフは上から、総合スコアでのPhysXオン/オフ、PhysXが関係するCPUスコアでのPhysXオン/オフ、総合/CPUスコアの内訳の中でPhysXが関係するCPU TEST 2でのPhysXオン/オフとなっている。どの結果でもPhysXを有効にすることで大幅にスコアを伸ばしているわけだが、わかりやすいように、総合スコアの上昇の割合をまとめると、
Performance | High | Extreme | |
---|---|---|---|
GTS 250 | 125% | 108% | 102% |
GTX 260 | 134% | 114% | 102% |
9800 GT | 119% | 108% | 102% |
といった感じになる。スコアの絶対値に違いある上、個別テストでスコアのバラつきが頻発しているが、少なくとも総合スコアの上昇率の傾向では、GTS 250は、GTX260よりも9800 GTに近い。
消費電力
最後に実環境での消費電力を確かめておこう。「ワットチェッカー」でシステム単位の消費電力を計測したもので、Loadの項目は3DMark VantageのGRAPHICS TEST 2を実行中のピーク消費電力だ。
やっぱり破格な149ドル
現在のGPUラインナップの中に組み込んでしまうと、GTS 250の性能をハイエンドクラスと呼んでよいのかどうかは抵抗のあるところなのだが、そもそも、3DMark06で1万オーバーのスコアを軽く叩き出すようなGPUをパフォーマンスクラスだとか、メインストリームクラスと呼ぶのもちょっと迷ってしまう。そこまでの性能を必要とするユーザーがどれほど居るのか……と考えると、GTS 250の性能は殆どのユーザーにとって、雲の上のハイエンドGPUなのではないかと思う。
それほどの性能が149ドル、下位モデルなら129ドルから手に入ってしまうというのは、やはり大きな驚きだ。近年の競争の激しさから、これまでには考えられなかった価格で非常に高性能なGPUが入手できるようになっており、その極めつけが今回のGeForce GTS 250なのではないかと思う。
消費電力がそれほどでも無いというのも大きなアドバンテージだ。これから3Dゲームにチャレンジしようかと考えている様なエントリーユーザーには、価格/性能比だけでなく使い勝手でも有力な選択肢となり得る。G200コア最廉価のGTX 260がこれまた値頃な229ドルというのは悩ましいが、既存ユーザーのアップグレードパスとしても、9800 GTあたりからの乗り換えならGTS 250でも十分満足できそうなレベルなので、これも悪くないだろう。