社内的な課題としては人材確保だと語る小津氏

――2009年はどういった方向性の事業に力を入れていく予定ですか? また、日本では、昨年で親会社であるノキアが日本での携帯電話の販売、販売活動を打ち切ると発表しましたが、その影響はあるのでしょうか

まず、ノキアが撤退したことですが、名前が同じなので悪い印象を受けることはあるかもしれませんが、インフラ事業は中長期における信用が重要ですし、事業が急激に伸びたり縮んだりといったことはあまりありませんので、ネガティブインパクトはないと思っています。

NSNとしては、日本市場は非常に重要だと考えています。2008年にNTTドコモ向けの無線インフラ構築で、パナソニックや富士通を組んだように、パートナー選択に力を入れていくつもりです。無線インフラはある種生き物のようですので、端末と違って製品があるからどうぞではなく、既存のネットワークにあわせたカスタマイズが大事だと思っています。

そのため、日本の通信事業者を長年支えてきて、日本のメーカーとパートナーになって進めていくというのがベストな選択でしょう。この点については、本社(フィンランド)の人間も理解してくれていて、パートナー選択は日本オフィスで決めています。

また、日本におけるビジネスの拡大ということでは、大きく3つの点で進めて行きたいと思っています。1つは、オペレーティングシステムや保守システムといったものをもう一歩踏み込んだものへと進めていきます。

これまでのシステムでも、どこの基地局が故障しているなどといった情報はすぐにわかり、修理できるようになっていますが、今後はさらに、基地局が故障していた間にそのエリアで利用可能なユーザーを判別し、障害発生の時間分だけ利用料金を割り引くといったサービスをインフラメーカーとして提案していくつもりです。

すでに、ドイツで導入されていますが、エンドユーザーにはショートメールを使って自動的にディスカウントの通知を行っています。

2つめとしては、データベースを進化させていきます。2008年初頭に英Apertioというデータベース開発企業を買収しました。検索重視のデータベースの開発が進んでいますので、大量の顧客データも瞬時に探し出せるようになります。

これによって、先ほどのサービスでも、基地局のデータベースと顧客のデータベースを結びつけるといったことが可能となっています。今後は、GPS情報なども利用して、ケータイとリアルのつながりがより深くなっていくと予想されますが、それらをデータベースによってサポートしていきます。

最後に、これまであまり日本ではアピールしてきませんでしたが、NGN(次世代ネットワークス)向けのIPトランスポートなどの製品を通信事業者に提案していきます。すでに、ドイツテレコムやUKテレコムでは採用されています。

――なるほど、割引につながるサービスというのはユーザーとしては嬉しいですね。日本でもぜひ実現してもらいたいと思います。本日は、どうもありがとうございました

(memn0ck/K-MAX)