携帯電話事業者の通信インフラを支えるノキアシーメンスネットワークス(Nokia Siemens Networks)。同社の事業戦略と2009年の展望を、日本法人代表取締役社長の小津泰史氏に聞いた。
LTEでは日本メーカーと組んでNTTドコモのインフラも構築へ
――まずは、ノキアシーメンスネットワークスがどういった会社かをお聞かせ下さい。また、2008年は社長に就任されて1年目とのことでしたが、どういった年だったでしょうか
ノキアシーメンスネットワークス(以下、NSN)は、ノキアの通信事業を行っていたノキア・ネットワークスとシーメンスのネットワーク事業を統合した会社です。ただし、ベースとなっているのは、ノキア・ネットワークスで、実態としてはシーメンスジャパンから5~6名が参加したくらいです。合併した後もノキア・ネットワークスが行っていた事業が中心となっています。
事業内容としては、日本国内ではノキア・ネットワークス時代から請け負っているソフトバンクモバイルの3G(W-CDMA)網の基地局などの無線アクセスといったインフラの構築が主要な内容です。ソフトバンクモバイルからは、NSNのほか、エリクソン、NECの3社で無線インフラを受注しています。
2008年はソフトバンクが各月、年間ともにNo.1の加入者純増数を達成し、ユーザーが非常に増加しました。それにともない、インフラ面の増強も必須となり、NSNも事業としては順調に伸びた年でした。日本でのシェアは公表していませんが、世界では、W-CDMA市場だけであればNSNのシェアは37%あります。
また、日本市場は新しい技術や市場を創生する場としての面もあります。そういったことから2008年には、LTE(Long Term Evolution)技術に対応した無線インフラ部分を、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、富士通と共同で受注しました。パナソニックとは基地局、富士通とはパケットコア装置をそれぞれ開発し、納入していくことになっています。
――他社でもLTE技術の開発は盛んですが、NSNの強みは?
大きなところでは、既存のネットワークや通信事業者の意向に応じて、柔軟に無線インフラをカスタマイズできるところです。また、基地局のソフトウェアを更新することで、GSMからW-CDMA、LTEへとカバーできるFlexi Ver.2基地局を導入しています。
日本市場には関係ありませんが、GSM方式のネットワークを3Gに移行する前に、最大592kbpsまで高速化するための2.5G技術にも対応しています。
NSNでは、基地局を月間で15万台生産していますが、そのほとんどがまだGSM対応製品です。今年は、中国を中心に途上国でも2.5Gや3Gへと進んでいくと見られますので、どれだけうまくマイグレーション(移行)させるかが鍵になってくると考えています。