--クラブメッドでは、リゾートのスタッフを"G.O(Gentle Organizer)"と名づけ、他のホテルスタッフとは異なるサービスを行っていますね。G.Oの育成、面接で気をつけていることはありますか?
マウアン氏「G.Oを採用する基準は、エネルギッシュであることとコミュニケーション能力です。G.Oはエネルギーがないと、色々な国の人と日々積極的に話す、お客様のおもてなしをするということができないからです。もちろん、スキーインストラクターなどの場合は、スキーのライセンスがあるかどうかというスキル面やクラブメッドのバリューを共有できるかなどを評価します」
--従来のクラブメッドは旅行者の好みがはっきりしていたと思います。
マウアン氏「我々の調査の中に『2人のうち1人がクラブメッドを利用したいとは思わない』と答えることが分かりました。これは日本人旅行客に限らず、欧米の旅行客を含めて言えることですが、クラブメッドの1980年代のイメージが未だに色濃く残っています。80年代のイメージはあまり良いものとは言えません。そこで、3年前から"何もしない自由"をというコンセプトをうちだして、努力、情報提供を行ってきました。新感覚の休暇スタイル、家族・子どもが体験を通して学習をする場としても力を入れたいと思っています。「2人のうち1人が利用してみたい」と回答していることに満足しているわけではありませんが、クラブメットのコンセプトを理解していただき、より多くの方が訪れ、また新しい休暇の過ごし方を楽しんでもらえるよう、メディアや旅行代理店を通じて正しい情報を提供すべく、プレスツアーや研修旅行を行っています」
「mini club med」の看板が立つ同施設では、4~10歳の子どもを預けることができる。そのほかジュニアクラブ(11~17歳)、プティクラブ(2~4歳*有料)もあり、世界各国の子どもたちが接する、国際交流の場にもなっている |
--クラブメッド・バリの年間総顧客数が3万5,000人のところ、今年は8万人を目標としていますが、達成できると思われる根拠は何でしょうか?
マウアン氏「まず、リノベーションの成功の実感を既に滞在されたお客様からのアンケートなどを通して確認できていますし、『今年また訪れたいと思う』との回答も多くありましたので、リピーターも見込んでいます。たしかに価格を下げれば、目標人数を容易に達成できると思いますが、そうではなく東京オフィスでの35年の実績や、素晴らしいリゾート、スタッフがいるなかで、おのずと利用客の満足度、および総顧客数が増えるということを意識して目標達成を目指しています。8万人という目標人数は十分にクリアできる数字だと思います」
--今後、日本でのクラブメッド新展開の予定はありますか?
マウアン氏「あります。2010年を目処に北海道に新しいリゾートをオープンする構想があります。場所や施設規模などはまだお話できる段階にはありませんし、クラブメッドリゾートをオープンするには最低でも2年はかかると思います。ですが、スノーリゾートであることは決定しています」
始終、笑顔で語るマウアン氏。日本のスキーリゾートの展開はまだ"構想段階"と念を押されたが、北海道でのオープンはほぼ確実視された。不況だからこそ、"オールインクルーシブ"がいい、との発言にも納得がいく。今後のクラブメッドの展開に期待したい。
(撮影:中村浩二)