人型ロボットもマーケットになる
特許庁では、企業や研究機関における技術開発・研究開発活動、効率的な特許戦略の構築にあたっての有益な情報の提供による特許情報の活用を目的として「特許出願技術動向調査」を行っている。調査内容は、「技術概要」「出願動向」「研究動向」「技術変遷図」「政策動向」「市場動向」となっており、さまざまな観点から分析が行われている。なお、同報告書は「特許庁図書館」や「各経済産業曲特許室および沖縄総合事務局特許室」、「各都道府県の知的所有権センター」「国立国会図書館」などで閲覧できるほか、発明協会からCD-ROMの形で購入することが可能だ。
同調査では、ロボットもその範疇に含まれており、平成18年度の調査報告書として発行されている。これは、平成13年度に行った調査の継続調査であり、前回の定義を拡大、"マニピュレータ機能を有する機械""移動機能を持ち、自らが外部情報を取得し、自己の行動を決定する機能を有する機械"の2つから、新たに"コミュニケーション機能を持ち、自ら外部情報を取得して自己の行動を決定し行動する機能を有する機械"を加えている。これは、自律性が高まったロボットに当たり、近年では医療分野や警備関係、パワーアシストスーツなどで市場にも登場しており、「それまでは人型ロボットの研究は実にならないものと揶揄する研究者も居たが、2003年ころから、このような次世代型のロボットが立ち上がり、マーケットとして見えてきた。そうした動向を捉える意味で追加した」(同)という。
なお、ロボット分野の技術を俯瞰すると、要素と応用に分けられ、かつ機械的な技術と知能的な技術に分けられる。この中で「人工知能とコミュニケーションの技術は融合することで、オペレータ以外のどのような人に対してもコミュニケーションを取れるようになり、革新が求められている」(同)とのことであり、これは一般社会で活躍するサービスロボットの普及に欠かせないものとなっている。