今回の発表会で、新機種のお披露目以上に強くアピールされていたのが、ソフトバンク携帯電話向けにお笑いの動画コンテンツを配信し、ユーザーの投票によりチャンピオン芸人を決定する「S-1バトル」の開催だ。3月1日よりYahoo!ケータイ上で毎日2組の芸人がネタ動画を公開し、視聴したユーザーはより面白いと思う芸人に投票。月間チャンピオン芸人には賞金1,000万円、投票ユーザーにも抽選で毎月10名に10万円が当たる。
1年間のバトルを通じて選出された12組の月間チャンピオン芸人は、来年3月開催予定の年間チャンピオン最終決戦に挑戦する。最終決戦はテレビ放映し、他社携帯電話のユーザーからも投票を受け付ける。年間チャンピオン芸人には賞品1億円、最終決戦に投票したユーザーの中からは抽選で1名に1,000万円が当たる。この企画全体で、芸人へは総額2億2,000万円、ユーザーへは総額2,200万円の賞金が支払われることになる。
お笑いコンテストとしては破格の賞金を提示することの裏には、お笑いというコンテンツの世界を、これまで中心だったテレビから携帯電話の側に引き寄せたいという孫社長の意志が見え隠れする。発表会で孫社長は「もしかするとテレビより面白いかも」と話しており、S-1バトルのWebサイトにも「いちばんオモシロイお笑いが見られるのは、テレビ? いや、ケータイかもよ。」というコピーが躍る。
かつてCS放送「JスカイB」(現在の「スカパー!」の一部)の計画を立ち上げ、IP放送の「BBTV」、そして近年は「Yahoo!動画」と、動画コンテンツに示す孫社長の意欲は以前から一貫して強い。そして、携帯電話のコンテンツ利用頻度を高める起爆剤が求められる一方で、画面の大きさや通信速度といった技術的な要件も整ってきたという状況があり、そのようなさまざまな条件が重なって今回の大型企画につながったものと考えられる。