サイト運営には、空の上の客室乗務員時代とはまた違う、今の仕事の面白さがあるという。
福浦「『ANA Latte』はひと月に1回更新しているのですが、考えたものがすぐ形になって表れるので、出来栄えや反応が即、見られるところが面白いですね。成果などが数字ですぐに出るし、対策を講じればその分が数字として現れる。そうしたダイレクト性も面白いですよね。年に1度、ユーザーからのアンケートをとる際に、お褒めの言葉をいただいたときはやはりやりがいを感じます。一方で、WEBの技術的な部分などでの勉強不足もあって、大変だったところもありました」
編集者として仕事もこなす。サイトの企画立案から書き手である客室乗務員たちへの連絡・打合せなどもひとりで切り盛りしているという。
福浦「『ANA Latte』の構成・企画は、地上スタッフの私ひとりで担当しています。2カ月に1度の編集会議では、客室乗務員などに集まってもらい、企画を説明し、原稿をメールで集めたりします。もちろんWEB制作会社とは日々のやりとりは何度も行います。そう考えるとCAの頃より、仕事の幅は多岐にわたっていると思います。アクセス数を延ばすという課題もありますし……」
福浦氏がこの仕事に自信を持って挑めるひとつのポイントが、『ANA Latte』のターゲット層の真ん中に自身がいるという部分もある。
福浦「『ANA Latte』のターゲット層は20代から30代の働く女性です。そこにあわせて年間12回更新される『特集』を組んでいきます。基本的にANAの就航路線や販売促進を強化する路線を中心にしたコンテンツとなりますが、旅の情報サイトってたくさんありますよね。何か独自の工夫を加えないとユーザーに飽きられてしまう。だから、今は都市ごとで見せていたコンテンツも、"温泉"や "スイーツ"など、切り口をさまざまに変えるように工夫していきたいと思います」
ANA には『ANA Latte』のほか、同社のメインサイトとなる『ANA SKY WEB』を持っている。それらとも関連性を持たせながら、『ANA Latte』の独自性を持たせなければならないという難しさもあると福浦氏は語る。
福浦「もともと本体である『ANA SKY WEB』は、30代から40代のビジネスマン向けで、出張時の航空券購入などをメインとするサイトです。一方、2000年に立ち上がった『ANA Latte』は、女性層を取り込むことが目標のサイトです。ですから、『ANA Latte』には自分のカラーというものも出ていると思います。ターゲットとしている年代層は、旅行にお金を使える年代層でもありますしね」