自分の好きなサービスを選んで乗る
LCCを使いこなすにはいくつかのコツがある。まず、インターネットでの情報収集は必須。とはいっても、別に面倒ではない。ウェブサイトにアクセスして会員登録しておけば、冒頭に書いたような「片道800円」などというメルマガが届くことになる。
ジェットスター航空は、昨年の成田空港就航時に、成田 - ケアンズ、ゴールドコーストを往復8,000円(就航日限定で、2009年5月10日~6月24日までの旅行に適用)という破格値で販売した。情報収集はインターネットが早いが、同社では旅行会社で販売されるパッケージツアーでも申し込めるようにもなっているので、インターネットだけで旅行の予約を済ませるのに不慣れなら旅行会社を使うといい。
さらに、ジェットスター航空の場合はオプションで機内食、ポータブル・プレーヤー、毛布やアイマスクなどのアメニティキットがオプションで用意される。つまり、追加料金で大手航空会社並みのサービスが受けられ、LCCのサービスになじみのない旅行者にも選択肢を与えてくれている。ただ、預け入れの荷物があると片道数千円の手数料が発生する。荷物が少ないほど値段が安いのもLCCの特徴だ。また、ジェットスターはエコノミークラスに8万円程度の追加で利用できるスタークラスという上級クラスを設置。上級クラスに慣れた旅行者も一度試してみるといいだろう。(*ジェットスター航空の試乗体験レポートはこちら)
成田就航時の記念運賃「8,000円」をアピールするジェットスターの片岡優・日本支社長(左)とブルース・ブキャナンCEO(右) |
アジアの人気旅行地を安く周遊
実は、冒頭で紹介したエア・アジアを上手に使う方法もある。現在、エア・アジアは日本に乗り入れていないが、アジアの周遊旅行にはおすすめのエアライン。ヨーロッパやアメリカは3都市程度なら日本からの格安航空券や正規割引航空券を使えば割安な周遊ができるが、アジアはそうした航空券が少なく、大手航空会社の割高な航空券を別に購入するか、電車やバスを使うしかなかった。ところが、エア・アジアが成長して、硬直状態にあったアジアの空は状況が一変。日本からバンコクやシンガポールまで、格安航空券で行き、アジア内をエア・アジアで周遊すれば、安くてお得な周遊旅行が楽しめるようになったのである。エア・アジアはクアラルンプールやバンコクなどを拠点に、カンボジアのプノンペンやシェムリアップ(アンコール・ワット)、タイのチェンマイやチェンライ、プーケット、マレーシアのコタキナバルやクチン、インドネシアのデンパサール(バリ島)やスラバヤ、ベトナムのホーチミンなどたくさんの人気旅行地に飛んでいる。
エア・アジアも、2010年を目処に日本乗り入れの計画を進めている。「日本は国土交通省が運賃の認可制をとっているなど諸外国に比べると規制が多く、格安運賃を出しにくい」(ジェットスター航空日本支社長・片岡優氏)とのことだが、それでもLCCは知恵を絞って格安運賃を度々出してくるだろう。仕事で行くならサービスが充実した大手航空会社が向いているかもしれないが、レジャーならLCCの格安運賃を積極的に使うといい。利用する人が増えれば、LCCが日本に乗り入れやすくなるし、旅する側の旅の自由度もグンと広がる。「以前は行き先が決まってから航空会社を選ぶのが当たり前だったが、『ジェットスターで行けるところはどこですか?』と航空会社指定で来る乗客も増えている」(片岡氏)。
経済状態が悪くサイフの紐を緩めにくい今だからこそ、なおさらLCCの価値は高まっているのではないだろうか。