では、そんなLCCは乗客に受け入れられているのだろうか。答えは「イエス」。たとえばエア・アジアは、マレーシアでそれまではバスなど不便な交通機関でしか移動できなかった人たちに、飛行機という圧倒的に便利な交通手段を格安な運賃で提供した。会社を育てたトップのトニー・フェルナンデス氏は今や地元ではスター並みの扱いを受けている。さらに、エア・アジアは中国の利用者も急増中だ。広大な地を中国にとっても、飛行機の移動は魅力的なのだろう。このようにLCCは、従来は気付かれなかったところに目をつけて、大手航空会社に対抗しているのだ。
LCCが昔からあったのかというと、そうでもない。誕生はアメリカ。有名なのが、1973年に設立されたサウスウエスト航空だ。機内食をなくし、ピーナッツとドリンクだけにしたため、"ピーナッツ・エアライン"と親しみを持って呼ばれた。乗務員の気取らないフレンドリーな接客も功を奏した。次にヨーロッパにもライアンエアやイージージェットといった数々のLCCが誕生し、2001年にはエア・アジアが誕生。今ではアジアでもLCCが続々と飛び始めている。LCCの占める割合は今や全世界のフライトの半数近くに上る勢いだ。
実は、日本にもLCCが飛んできている。ジェットスター航空は、オーストラリアのLCCで、07年3月に名古屋 - ケアンズ線で日本に乗り入れた。その後、関空にも就航し、去年の12月18日には成田への乗り入れを果たした(既報参照)。現在は成田 - ケアンズ、ゴールドコースト、関空 - ゴールドコーストの3路線を運航中だ。タレントのベッキーを起用した同社のテレビコマーシャルを観た人も多いだろう。