ウイル・スミスをリアルタイム・レンダリング
最初に登場したのはLucasfilm, LtdのITオペレーション・ディレクターKevin Clark氏。5年前にAMDと提携して以来、「トランスフォーマーズ」をはじめとする数多くの作品を手がけてきた背景には、グラフィックス・レンダリングをネットワーク全体に分配するAMDプラットフォームの効率性が存在すると指摘した。
次にAMDの講演でおなじみのOTOYのCEOであるJules Urbach氏が登場。リアルタイムレンダリングで写実的にニューヨークの街とRubyを描くCinema 2.0のデモを披露し、ボクセル分割などの技術を説明した。本物と見まがう建物に比べると、Rubyはアニメキャラクターっぽくリアルさに欠ける。細かく複雑で、そして柔らかい人の動きや表情、肌をシネマティックに表現するのは難しいためだ。ただし不可能ではない。OTOYは南カリフォルニア大学などと共同で、球体状の3Dスキャナで人の動きをキャプチャし、そのデータとボクセルデータから人のリアルな3D映像を作り出す技術を開発している。その成果は「Emily」というでもデモムービーで、これまでに何度か披露されているし、すでにいくつもの映画に利用されている。だが、リアルタイムレンダリングとなると話は別である。ところが今回、わずか1台のDragonプラットフォーム・システムを使って、映画「ハンコック」と同じように、ウイル・スミスの顔をステージ上でCG化して見せた。すべてがリアルなCinema 2.0デモが実現する日も近そうだ。
RubyのCinema 2.0デモ。リアルなマシンに比べると、Rubyには人の柔らかさが十分に表現されていない |
3Dスキャン後にレンダリングしたスパイダーマン2のDoc Ock。簡単にはどちらがCGが見分けがつかなりほどのリアルさを実現 |
「ハンコック」で主人公のウイル・スミスを球体状の3Dスキャナでキャプチャしている様子 |
Dragonプラットフォームのシステムを使いステージ上でウイル・スミスをレンダリングするOTOYのJules Urbach氏 |
続いてDellのゲーミンググループGMであるArthur Lewis氏が、DragonプラットフォームのゲーミングPC「XPS 625」を紹介した。ターゲットは、これまで価格を理由にハイパフォーマンス・ゲーミングシステムを手に入れられなかった層だという。Phenom II X4プロセッサ、ATI Radeon HD 4800シリーズのグラフィック、そしてAMD 7シリーズのチップセットの組み合わせを、999ドルからの価格で提供している。