ベンチマーク
今回利用したベンチマークは「3DMark 06」および「3DMark Vantage」のみである。実際にはゲームベンチマークも計測済みであるが、前述の機材調達のスケジュールにより、結果は全てのデータが揃った段階で紹介させていただきたい。また、もう1点、GeForce GTX 295のドライバに関して、NVIDIAでは1月5日頃を目処に新ドライバをリリースする予定としている。実際にユーザーが入手できる段階ではその新ドライバが提供されるはずだが、原稿執筆時点ではこのドライバが間に合っておらず、利用したのはアーリーβのドライバだ。先にRadeon HD 4870 X2が現時点で再計測すればスコアが上がっているだろうと予想した点に加え、GeForce GTX 295もさらにスコアが上がる可能性がある点も、ご了承いただきたい。
さて、まずは3Dmark 06。通常設定とアンチエイリアス(AA)、異方向性フィルタ(AN)を適用した設定のOverallを見比べると、より高画質、より高解像度での性能が高いことがわかる。もちろん当然の結果であるのだが、GeForce GTX 280であっても、メインストリーム向けGPUと比較すればこの沈み込みは真っ平らに近いほど少ないのだが、GeForce GTX 295はそれを上回るというわけだ。また、Radeon HD 4870 X2と比較しても、この沈み込みはやや少ないようである。
3Dmark 06のShader Testではどれもハイスコア過ぎて、0スタートのグラフにおいては差がひと目ではわからなくなった。そこでそれぞれ6000と5000以下を切り捨て、中心的なゾーンで拡大している。Shader Model 2.0 Testの特徴は、低負荷な場合ではGeForce GTX 280の方がスコアが高く、高負荷になってGeForce GTX 295の性能が引き出されるというものだ。ただ、今となってはほとんどの新作タイトルがShader Model 3.0対応であろうから、あまりこのテストの順位は意味が無いかもしれない。一方でShader Model 3.0 Testの特徴は、Shader Test全般的にRadeon HD 4870 X2が優位だったところ、高画質設定の1920×1200ドットでGeForce GTX 295がトップスコアを取り戻すところだ。NVIDIAでは1920×1200ドットを超える解像度をXtreme-HDと表現しているが、そうした環境を持つユーザーであれば、GeForce GTX 295の恩恵も大きいと言えそうだ。
3DMark 06の最後にFill Rateとその他Feature Testの結果を紹介しよう。Fill Rateでは、Single-TexturingでGeForce GTX 295とRadeon HD 4870 X2がほぼ同値に並び、Multi-TexturingではGeForce GTX 295が大きく引き離している。Feature Testでは、Shader Particleの結果に悩むところだ。内部的なSLIが効いていないという印象であり、このあたりがドライバのまだフィックスできていない部分なのかもしれない。その他は、GeForce GTX 295がGTX 280を大きく上回る、納得できる伸び率である。ただし、全体的に見るとややRadeon HD 4870 X2が優位とも見て取れる。
次は3DMark Vantage。PhysXが利用できるGeForce系は若干有利なテストでもある。PhysXをオンにするかオフとするかは議論の分かれるところだが、3DMark自体がFPSを競うものではなく、システム全体の性能(エクスペリエンス)を競うもの。グラフィックスカードの性能を全部出しきった結果となると、オンでも構わないだろうと個人的には考えている。さて結果だが、GeForce系が有利とはいえ、GeForce GTX 295はPerformanceで2万に迫るスコア、Extremeでも1万に迫るスコアを示している。また、PhysXへの対応によってGeForce GTX 280も大きくスコアを伸ばしており、以前計測したデータと比較すると4000近いスコアアップだ。ただし、そのGeForce GTX 280でも、High、Extreme設定ではRadeon HD 4870 X2に敵わない点にも注目しておきたい。
PhysXが関連しないFeature Testを見てみると、Stream Out、GPU Perticlesで、GeForce GTX 295とGTX 280が逆転している。以前Radeon HD 4870 X2と4870を比較した際、このテストではデュアルGPUの効果が薄いことが分かっているが、GeForce GTX 295の場合、1GPUで計算するとGeForce GTX 280よりもやや分が悪いぶん、こうしたスコアなのだろう。Perlin NoiseはRadeon HD 4000シリーズが得意とする箇所なので引き離されているが、Texture Fill、Pixel ShaderなどはGeForce GTX 280と比べGTX 295がかなりスコアを伸ばしていると評価できるだろう。
まとめ
今回は、簡単に傾向だけまとめておこう。少なくとも現段階の3DMarkベンチマークにおいて、GeForce GTX 295は3D性能でRadeon HD 4870 X2というデュアルGPU製品につけられた差を挽回している。とくに3DMark06のAA/AN適用時を見ると、通常のSLI同様、さらに高解像度、さらに高画質で伸びそうな印象がある。また、システム全体で見れば、3DMark Vantageが示した通り、3D性能に加え、PhysXを用いたリアルなゲーム体験が可能となる。こうした点で、快適な3Dゲーム環境を求めるユーザー、そして既にXtreme-HD環境を導入しているユーザーがさらなるパフォーマンスを求める際には注目の製品と言えそうだ。では次回、消費電力も含めたRadeon HD 4870 X2との詳細な直接対決にご期待いただきたい。