画素数はさらに増えるのか?

ソニー「α300」。2008年7月17日発売。価格は約65,000円

ニコン「D700」。2008年7月25日発売。価格は約291,000円

一時、1000万から12000万画素程度で落ちついていた画素数だが、また増える傾向も見えてきた。代表的なのはEOS 50Dの1510万画素、α350の1420万画素、「K20D」の1460万画素など。では、他メーカーもこれに追従して増やしてくるかというと、これは悩ましいところだろう。

理由のひとつは、以前ほど「高画素=いいカメラ」という幻想が持たれていないことがある。極端な高画素モデルはいまでも高感度時のノイズに難があるし、組み合わせるレンズについてもデリケートな一面がある。なにより、1000万~1200万画素で十分きれいな写真が得られることを多くの人が理解してしまった。もうひとつの理由は、フルサイズが現実的になったことだ。高画素を求めるならフルサイズにすればいいという、当たり前の選択が可能になった。

フルサイズ機の画素数はD700こそ1210万画素だが、その他はα900が2460万画素、EOS 5D Mark IIが2110万画素。ニコンのプロ機「D3X」も2450万画素と、ほぼ同じくらいに収まっている。ちなみに、D90の撮像素子は23.6×15.8mmで1230万画素だから、これをフルサイズ(36×24mm)まで広げると約2850万画素になる。つまり、フルサイズでもこのくらいの画素数までは、撮像素子の"粒"の大きさは変わらないことになる。もちろん単位面積が同じでもフルサイズの周辺部は斜めに光を受けなければならないなど、簡単に比較できるものではないが、このあたりの画素数で落ち着く可能性が高いという予想は立てられるだろう。

本格的に採用が進むライブビュー

ニコン「D90」。2008年9月19日発売。価格は約104,000円

キヤノン「EOS 50D」。2008年9月27日発売。価格は約147,000円

2008年の傾向として、デジタルならではの機能が充実してきた点も挙げられる。例えばライブビュー。コンパクトカメラのように、リアルタイム表示のモニター像を見ながらフレームやピントが合わせられる機能だ。クラスに関わらず、新しいモデルの多くがこれを搭載している。

ライブビューのポイントはオートフォーカスだ。一眼レフでのライブビューには、ファインダー使用時と同じ位相差式AFと、コンパクトカメラと同様のコントラスト検出式AFが使われている。コントラスト検出ではムダなミラーの上下が抑えられ、AFポイントも自由にできるなどのメリットがたくさんある。顔認識も撮像素子を使うコントラスト検出だからできること。しかしながら、フォーカスが遅いのが難点だった。これはコントラスト検出用に作られたレンズや、レンズ駆動機構を持たないためで、専用の機構を備えたDMC-G1は、非常に高速なフォーカスを可能にした。

メーカーの採る方法は3つ考えられる。ひとつは、マイクロフォーサーズのようにコントラスト検出のための専用の機構を搭載すること。しかしこれはマウントの変更などが必要で、すぐにできるというものではないだろう。2つめはα350/α300のように、従来の位相差式を使ったライブビューを提案していくこと。これは速くて使いやすいのだが、AFポイントが限定されるなど、ライブビュー本来の便利さとは相反する部分を抱えている。3つめは、ライブビュー(コントラスト検出)は風景撮影やスタジオ撮影など、フォーカスの速さを必要としない撮影用として搭載することだろう。現在は現実的に3番目の手法を採るものが多く、D90ではライブビュー時の位相差式を止めてしまい、コントラスト検出のみとした。これはこれで英断だと思う。

暗部補正とカラーモードの多様化

ソニー「α900」。2008年10月23日発売。価格は約310,000円

ペンタックス「K-m」。2008年10月24日発売。価格は約62,000円

動画機能はライブビューの延長として考えるとわかりやすい。リアルタイムで像を表示しているのだから、それを記録すればそのまま動画になる。動画機能を搭載するのは、現在のところD90と、EOS 5D Mark IIの2モデルだ。いずれも豊富な交換レンズが動画でも使え、一眼レフ特有の立体感のある描写が可能になることをメリットとして挙げている。

今後、一眼レフで動画が一般化するかは難しいところ。理由のひとつはやはりオートフォーカスで、D90はマニュアルフォーカスのみ、EOS 5D Mark IIはオートフォーカスも可能だが、決して十分とはいえず、動画撮影中に大きく外れたりする。動作音などが録音されてしまうという問題もある。

そのほか2008年に目立った機能を挙げると、暗部補正機能がある。これは画像の暗い部分を明るくし、黒つぶれを防いでくれる。デジタルらしい機能でもある。現在、これを積極的に活用しているのは「α700」、α900の2モデル。絵づくりそのものを左右するまで効かせており、肉眼で見えなかったようなものが見えてくることもある。それ以外のモデル、メーカーはそれほど極端ではなく、補正の域を越えていない。

今後の可能性としては、カラーモードがより広く展開されるかもしれない。これは「ビビッド」や「ニュートラル」といったように、絵の鮮やかさやコントラストなどを変更する機能だが、ペンタックスの「K-m」に搭載された「デジタルフィルタ」では周辺を極端に暗く落としたり、ハイライト部分を十字状に光らせることもできる。オリンパスの「アートフィルター」機能は、極端に鮮やかにしたり、ソフトフォーカスをかけるといった処理も搭載した。レタッチソフトで同様の画像ができなくもないが、面倒だし、誰にでもできるわけではない。可能性は低くないと思う。