読者の皆様、新年あけましておめでとうございます。皆様にとっての2008年はどのような年だったでしょうか? いまだ現在進行形で続く世界的な景気後退の影響などが大きく、世間には文字通り景気の悪い話題があふれ出していますが、今日から心機一転、新しい年が始まります。
さて今回は、マイコミジャーナル「パソコンチャンネル」に掲載された記事のアクセスランキングから、"パソコン"の2008年とは如何なる年だったのか、あらためて振り返ってみます。コンピュータ業界は変化が激しいと言われ続けてきましたが、ここ数年、一時期ほどのスピード感は失われていたかもしれません。しかしながら、2008年は近年まれに見る、"激動"の2文字が相応しい変化の年であったように思います。
2008年1月の人気記事
ネットブックをはじめとする低価格ミニノートは、"パソコン"の2008年を通して最も印象に残った話題と言っても過言では無いでしょう。2008年のスタートにまず注目を集めたのは、その低価格ミニノートのさきがけとなった製品、ASUSTeK Computerの「Eee PC」シリーズの発表記事でした。
開発表明はさらに半年ほど遡った2007年6月、COMPUTEX TAIPEIの会場での出来事。2007年末にかけて、海外市場での発売開始、日本国内への投入意思の発表を経て、満を持しての日本上陸でした。世界規模で品薄となるなど、その後の熱狂ぶりは、いまでも鮮明に記憶に残っています。
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2位はAppleの超薄型ノートパソコン「MacBook Air」。何度も"噂"になりながら、なかなか姿の見えなかったAppleの薄型モバイルがついに登場しました。ステージ・パフォーマンスに定評のあるSteve Jobs氏ですが、封筒からMacBook Airを取り出すとは思いませんでした。ちなみに、こんな変わった周辺機器(?)まで発売されたようです。
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3位と4位はIntelの45nm世代「Intel Core 2」プロセッサの記事です。2008年は同社の45nm世代のプロセッサが市場を席巻した年だったと言えるでしょう。
続いては時代の移り変わりを象徴する記事です。「International CES」でのBill Gates氏のファイナル・ステージのレポートが5位となりました。International CESの基調講演にGates氏が初めて登場したのは、実に12年も前のことで、それはWindows 95がリリースされたばかりの頃でした。同講演は長年にわたり続いてきた年明けの風物詩だったのですが、ついに最後となってしまいました。
■番外編
・高速電脳が事実上倒産、経営悪化で破産手続きへ
トップ5には入りませんでしたが、あまりの衝撃の大きさから多数のアクセスを集めたのが、秋葉原の老舗PCパーツショップ、高速電脳の倒産記事です。秋葉原の自作パソコン文化を代表するようなショップであり、取材や機材の手配などで、マイコミジャーナル編集部も何度となくお世話になっていました。微力ながらもっと何かしらお手伝いできることだってあったはず……と、後悔も残る出来事でした。
2008年2月の人気記事
AMDの新型プロセッサ「AMD Phenom」を徹底検証した特集記事に注目が集まりました。登場は2007年末でしたが、「AMD Athlon」に続く新たな製品ブランドまで与えられた新アーキテクチャの製品だけあり、さすがの人気といったところでしょう。倍率ロックを外した"Black Edition"の存在も、あわせて見逃せないものでした。
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・【特集】Phenomで探る、AMD新世代プロセッサの真実 - 性能ベンチマーク編
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2位はレノボ・ジャパンの超薄型ノートパソコン「ThinkPad X300」。Appleの「MacBook Air」とも頻繁に比較された超薄型ノートの雄です。製品発表会で「究極のThinkPad」と紹介されただけあって、妥協の無い使い勝手が実現されていました。MacBook Airとはまた違った超薄型ノートパソコンの価値を提案できていたように思います。
3位は売れ筋となるDirectX 10世代のNVIDIA製ミドルクラスGPUのレビューで、一方4位は、当時のクアッドコア・プロセッサの最上位「Intel Core 2 Extreme QX9775」を2基搭載するウルトラハイエンドプラットフォーム「SkullTrail」のレビュー記事です。どのくらい"ウルトラ"な"ハイエンド"なのかというと、133万円のデスクトップパソコンが発売されるくらいのウルトラ具合でした。
5位はご存知「初音ミク」。実はこのソフト、筆者も軽い気持ちで一度手を出してみたのですが、使ってみると意外と難しいのです。当該の記事はDTM初心者にもわかりやすいよう基本的な操作方法などを紹介したハウツーものなので、入門書としてお役に立てるかもしれません。
■番外編
・これが本当の最後…? 「Netscape Navigator 9.0.0.6」がリリース
・マイクロソフト、Windows Vista SP1 日本語版の開発完了を発表
ランキングの次点で2本、対照的な記事が人気を集めていました。ひとつは、インターネット初期の普及期には9割近いシェアを占めたこともある定番ブラウザ、「Netscape」の最後。もうひとつは「Windows Vista」で待ち望まれたサービスパックの開発完了という話題です。特にNetscapeですが、筆者も過去に随分と長い期間使っていた思い出があり、個人的にも感慨深いニュースでした。
2008年3月の人気記事
3月にドイツで開催された「CeBIT 2008」のなかで、ネットブック/ネットトップとともにブレイクした「Intel Atom」プロセッサと、独特のテレビCMでもおなじみのモバイル向け次世代プラットフォーム「Centrino 2」が正式発表されました。注目度の高い2つの話題のあわせ技であったためか、1位を獲得しています。
ちなみに、この年のCeBITでは他にも、後にAMD向けで定番のグラフィックス内蔵チップセットと評価される「AMD 780」シリーズも発表されています。その780シリーズから、上位の「AMD 780G」チップセットのレビュー記事が2位となりました。
先月は開発完了の記事も注目を集めていた「Windows Vista SP1」の一般公開が3位。ついでに、そのSP1の公開にあわせて発表された、Windows Vistaリテール版の値下げ発表も、大きな話題となっていました。
2008年の前半を思い出すと、猫も杓子も「iPhone」で盛り上がっていたように思いますが、4位はそのiPhone関連から。ソフトウェア開発キット(SDK)のリリース発表会のレポート記事がランクインしています。この時点では、日本でのiPhoneの発売はもう少し先の話になるわけですが、それでも大いに注目されていたようです。
5位にはモンスターGPUのベンチマーク記事がランクイン。単体でもハイエンドクラスに位置するGPUを、あろうことか1枚のカード上に2基搭載してしまったのが、「NVIDIA GeForce 9800 GX2」です。性能もさることながら、197ワットという消費電力にも驚かされました。
ところがつい最近、こんどはそのGX2と同じコンセプトで、それをさらに上回る「NVIDIA GeForce GTX 295」が発表されました。気になる消費電力は289ワット……そろそろなんとかして欲しいような気もしてきます。
■番外編
・アップル「Safari 3.1」Mac/ Windows版をリリース、最速をアピール
・米AMD、2.5GHz動作「Phenom X4 9850」や3コア「Phenom X3」など発表