ストーリーは楽しんだもの勝ち!? 散りばめられたパロディを見抜け
ゲームをスタートすると、まずはオープニングムービーが開始。曲自体はちがうものの、前作と同様に榊原ゆいの歌声が心地よい。ムービーではいきなりセイバーライオンとネコアルクが登場するなど、本作のカオスさがいきなり全開といった感じである。最初のタイトル画面には、"アヴェンジャー"、"衛宮切嗣"、"アイリスフィール・フォン・アインツベルン"といった本作からの参戦組が登場する。まあ、あくまでも"最初の"ですが……。ゲームモードは「ストーリーモード」や「フリーバトル」など。はじめてプレイする人は「チュートリアル」で基本操作をチェックしておきたい。
本作のメインモードである「ストーリーモード」を中心に話を進めよう。最初に選べるキャラクターは7人。クリアするごとに、プレイヤブルキャラが増えていくのは前作と同様だ。7人のうちの筆頭が"セイバーライオン"というあたりが、本作を象徴しているといえなくもない。なお、プレイはどのキャラクターからはじめてよいが、できれば上から順番にクリアしていくことをオススメする。各キャラクターのストーリーは、それ単体でもちゃんと成立しているが、微妙なつながりがあたったりもするからだ。
7話立てのストーリーとバトル、というゲームの流れは前作と同じ。ストーリーを楽しみつつのバトルとなる。さて、本作は、「Fate」シリーズのパロディ作品であるため、そこかしこにパロディ的要素が散りばめられている。つまり、本作のストーリーを楽しめるかどうかは、「Fate」シリーズのストーリーを知っているか、知らないかが大きく関わってくる。もちろん、まったく知らない人でも楽しめるようになっているが、知っていればいるほど、面白くなる要素が大きい。ゲーム性は別にして、本作を十二分に楽しむためには、先に『Fate/stay night』などをプレイしておくのが吉である。
しかも、「Fate」シリーズだけを知っていればOKというわけではない。本作では同じTYPE-MOONの『月姫』からの参戦もある。それでは、TYPE-MOON作品を知っていればよいかといえば、それだけでも不十分。「Fate」とはまったく関係のない作品からのパロディも多数登場するからだ。本作のすべてを味わうためには、さまざまな知識の量が問われるかもしれない。アニメやゲーム、小説など、幅広い知識があればあるほど、本作の面白さは高まっていくのだ。ちょっとしたセリフにもパロディ要素が満載。「ゾンビだらけのショッピングモールに72時間」といえば……。はたしてあなたはどこまでついていけるか?
システムのパワーアップでアクション性が向上
ゲームのシステムは、ほぼ前作を踏襲している。「攻撃」「突き飛ばし」「ガード」「ジャンプ」などの操作方法はまったく同じ。特殊技やタイガーボールを所持しての"必殺技"、"超必殺技"の発動も変わっていない。前作をプレイした人ならまったく問題なく、はじめてプレイする人でもあまり迷うことはないだろう。
しかし、本作ではゲームシステムやゲームバランスなどの見直しが図られており、前作よりもアクション性が高まっているのが特徴。キャラクターの強さを示す「虎力」の見直しはもちろん、「虎令呪」と呼ばれる新しい機能が備わっている。この「虎令呪」は、1回のバトルで3回まで使用できる「切り札」のようなもの。一定時間が経過するか、キャラのHPが「0」になるまで、何らかの「特殊能力」が発動する。たとえばギルガメッシュなら「スーパーアーマー能力」、セイバーなら「攻撃力の強化」といったように、発揮される能力はキャラによって異なる。
このキャラによって異なるというのは、ある意味、『フェイト/タイガーころしあむ アッパー』の特徴といってよいかもしれない。キャラによって技や武器などが異なるのは、どんなゲームでも同じことであるとはいえ、『フェイト/タイガーころしあむ アッパー』は、あまりに違いすぎるからだ……。このあたりは前作でも同じだが、キャラの力量を示す「虎力」にしても、たった「1」しかない間桐慎二から、「12」もあるギルガメッシュやファンタズムーンまでもが同じ舞台で、同じ立場で闘いを繰り広げる。また、必殺技にしても、的確に相手をしとめられる、いわゆる"使える"ものから、自分までもが窮地に陥る"使えない"ものまで、まさに多種多様。プレイするキャラの特性を把握することが、重要であり、クリアするためには必須となるわけだ。