MTMには展示ブースのほかに、プレゼンテーション用の会場も設けられており、出展者による講演が随時行われていた。最初に登壇し、基調講演を行ったのは、自身もニコニコ技術部有志として参加しているSF作家の野尻抱介氏。講演のタイトルは「DIYの未来」で、将来の展望をSF作家らしいスケールの大きさで紹介した。

野尻抱介氏による基調講演

モノが溢れる現代。欲しいモノがあれば、何でも買うことができる、と思うのが普通だ。DIY、つまり「自分で作る」ということは、すでに時代遅れの行為なのだろうか?

氏は、オープンソースハードウェアの「Daisy」を使って開発した「携帯みくみくプレイヤー」をニコニコ動画で公開している。市販のMP3プレイヤーに比べると機能は低いが、改造して初音ミクにネギを振らせることもできる。「これこそ自分が持ちたいもの。他の不便はいとわない」と言い切る。

MP3プレイヤーを自作できるキット「Daisy」

ニコニコ動画のような発表の場がモチベーションの維持に役立つ

工具、工房、ショップ、ネットワークなどについて展望を述べた後、講演の終盤には、話が「DIYで宇宙へ」というとんでもない方向へ。「Scaled Compositesの宇宙機は、技術的にはグライダーの延長。宇宙だからといって"DIYではとても無理"などと考える必要はない」とぶち上げ、「宇宙こそDIYの真価が発揮される場所」とした。

民間初の有人宇宙飛行に成功したScaled Composites

将来的にはこんなことも?

「DIYは人間の生き方そのもの。人間の数だけ異なるものがあるべき」「人任せにして企業が作るものをひたすら待つ時代は終わる」「DIYは時代遅れではない。未来を作るもの」とまとめ、居並ぶ"Maker"達に「未来をDIYしよう」と奮起を促した。