鈴見 キャラクタービジネス業界のなかでも「こんな融合ができたのか! 」と大きな反響があるんです。ひとつ、ふたつなら例がありますが、キュージョンはかなり数が多いでしょう。いろいろな版権元さんとの信頼関係を20年以上、積み重ねていた実績があったので、実現にこぎつけられたと感じています。

――忘れてください、まで言われたのに、よく交渉を続けられましたね。

伊藤 そこは忘れられませんから(笑)。

――キャラクターのチョイスがユニークというか、秀逸ですね。

鈴見 最初は対象年齢をあまり考えず、どちらかといえば昔のキャラクターから抜粋したんです。R25、35といったくくりはなかったんですが、それがヒットにつながった原因だと思っています。キュージョンを前にして「これなに? 」「知らないの? 」といった会話が生まれる。そういうことが面白い。それに"仮面ライダー"は男児キャラですよね。でも、キューピーとコラボすることによって、ユニセックスに持っていける。

左から、仮面ライダー 1号、仮面ライダー V3、仮面ライダー2号、ショッカーライダー、仮面ライダーアマゾン。このほか、ライダーマンやショッカーなどのキュージョンも用意されている。©Rose O’Neill Kewpie International ©石森プロ・東映 (発売元 株式会社プレックス 販売代理店 株式会社ラナ)

伊藤 見たことがないキャラクターでも、ローズオニールキューピーと一緒だと可愛い。だから知らないのに買ってしまうことも起こり得るんです。

ラナ BS営業本部 企画・ライセンス課 ライセンスチーム主任 福本良氏

――コラボならではの相乗効果ですね。それにしても、まったくローズオニールキューピーとは似つかない「コルゴ13」や「北斗の拳」まで登場したのには驚きました。

伊藤 こと"ゴルゴ13"は表情を変えませんしね(笑)。そういった意味でいえば、長い目でみれば、かなりレアな商品になるかもしれませんね。

福本 キュージョンは、作家の方々にも気に入って頂いています。ある作家の先生にサンプルをお渡ししたところ、「お、これは可愛いじゃないか」と言ってくださったそうです。キャラクターの商品を作っていく上で、作家の先生にも喜んで頂けることは、本当にうれしいです。

ゴルゴ13と「北斗の拳」のケンシロウ。©Rose O’Neill Kewpie International ©さいとう・たかを/さいとう・プロ/リイド社 ©武論尊・原哲夫/NSP 1983, GE-308

――企画書の段階である程度のデザインは決まっているのですか?

伊藤 そうですね。でも、キャラクターによっては「どうしてもここだけは変えないで欲しい」というお話が出てくることもあります。ただ、ローズオニールキューピーとコラボしていく上で、まったくそのままというのは難しいです。まずはデフォルメすることを前提にお話させて頂いて、よりお互いのキャラクターのいいところをミックスして、ミックスした段階でさらに良くなるということを目指してデザインしています。そこが一番苦労している点ですね。

福本 図面を作って、それを基に粘土で原型を作って、それを版権元さんに見て頂くという流れなんですが、すぐに気に入って頂けるものもあれば、納得して頂くまで5、6回のリテイクということもあります。