新しいDirectXで強化されるデスクトップ

デスクトップ周りをチェックする前に、Windows 7で搭載されるDirectXに関して軽く触れておこう。Windows 7ではDirect3D 11、Direct2Dが新たに搭載される予定だ。前者は、前バージョンであるDirect3D 10.xのスーパーセットにあたり、パフォーマンスの向上やいくつかの新機能を備えている。

後者は2D用グラフィックスレンダリングとして新たに用意されたAPI。Direct3D 10.1の上に構築されており、GPU支援による描画が最大の特徴といっても過言ではない。GDIおよびGDI+との相互運用性を確保しながらも、GPU支援により低いCPU占有率で2D描画を行なっている。また、テキストレンダリング用APIとしてDirectWriteを用意し、ClearTypeの描画パフォーマンスも向上する予定だ(詳しくはPDC2008セッションのWindows 7: Introducing Direct2D and DirectWriteをご覧頂きたい)。

つまり、Windows Vistaでややおざなりになっていた2D部分を、Direct2DとDirectWriteによって強化したことになる。どの程度パフォーマンスが向上するのかは、現時点で計り知れないが、Windows VistaからWindows 7へ移行する大きなアドバンテージとなり得るだろう。

さて、Windows 7のデスクトップ周りを目にすると、設定ウィンドウの項目にいくつか変化が生じている。例えばディスプレイ解像度の設定はダイアログからウィンドウに変わり、ディスプレイドライバが持つ簡易的な設定を内包している。例えばGeForce 7800の環境では、「Orientation」という項目が用意され、ディスプレイの方向を縦・横から選択可能になった。もちろんディスプレイドライバが同様の機能を備えていない場合、同種の項目は表示されない(図18~20)。

図18: ディスプレイ設定ウィンドウでは、ビデオドライバが持つ機能もWindows 7のユーザーインターフェースから設定可能

図19: 解像度の変更はドロップダウンリストを開くと表示されるスライダーから選択可能。こちらも直感的でわかりやすい

図20: GeForce 7800を搭載したコンピュータにWindows 7を導入すると、ディスプレイの方向を切り替える「Orientation」が追加された

テーマや壁紙をカスタマイズする個人設定も若干の変更が加わった。同機能を呼び出すと、現在選択中のテーマ、既存のテーマ、プリセット済みのテーマが並び、ウィンドウ下部には壁紙や配色などのカスタマイズダイアログを呼び出すアイコンが用意されている(図21~22)。

図21: 個人設定では既存のテーマだけでなく、古い配色を用いたプリセット済みのテーマも選択可能。また、壁紙や配色、イベントサウンドやスクリーンセーバーの設定もここから行なえる

図22: 「ハイコントラスト #1」を選択したWindows 7。配色自体は昔からあるものなので目新しくないが、テーマの適用スピードはWindows Vistaより速くなっている

ちなみにWindows 7では、ガジェットを配置するWindowsサイドバーが廃止になった。もともとWindows Vistaでも当初は廃止予定だったが、リリース直前になって復活しただけに、Longhorn開発当初のポリシーにあわせたのだろう。ガジェット選択ウィンドウは、デスクトップのコンテキストメニューから呼び出し可能だが、ガジェットはWindowsサイドバーがなくなったため、デスクトップのみドラッグ&ドロップ可能。ただし、機能自体はさして目新しい箇所はない(図23)。

図23: デスクトップのコンテキストメニューから呼び出すガジェットウィンドウ。Windowsサイドバーがなくなったため、デスクトップへドラッグ&ドロップすることになる