グラフィックスでも、メインストリーム/ バリュー市場を重視する戦略が示された。これまで最新のグラフィックステクノロジーは多くのユーザーにとって高すぎる存在で、メインストリーム市場にまで落ちてくるのに半年から1年を要していた。それではテクノロジの価値の話題性が、一般への波及に生かされない。そこでATIが打ち出したのがスケーラブルデザイン (Scalable Design)だ。巨大なシングルGPUではなく、メインストリームをターゲットに新アーキテクチャを導入し、ハイエンドには、それを複数搭載する。これにより短い時間で幅広い製品カテゴリに最新テクノロジーを揃えられる。この手法を採用したのがRadeon HD 4800シリーズだ。またBalanced platformの一手として、既報のようにATI StreamテクノロジーをRadeon HDユーザーに浸透させる試みが発表された。
今回のファイナンシャル・アナリストデイは、製品投入の狙い、そしてマーケティング面においても焦点が絞られ、AMDの明確なメッセージが伝わってきた。自信にあふれていたと言える。ただし、45nm製品への移行、ウルトラポータブル/ ミニノート市場への拡大、ATI StreamによるGPGPU市場開拓はいずれも先行した一手ではない。説得力はあったが、そのような中でAMDを選ばせるような力強さまでは伝わってこなかった。このあたりの答えはConesus/ Yukonプラットフォームなど2009年製品の詳細が明らかになるのを待つ必要がありそうだ。まずはShanghaiが回復の糸口となるかが注目である。