確か正面入り口付近にパンダの特大ぬいぐるみがあったはずだが……。さすがに遠足シーズン。園内はたくさんの幼稚園児でにぎわい、平日というのに家族連れの姿も見られた。と、見つけたっ、パンダさん。今もどしっとした"座り"で来園者をお出迎え中だ。1歳10カ月の女の子とその両親が早速記念撮影をしていた。
「この子は生まれてからまだ一度も本物のパンダはみたことがないんです」と母親。「これぐらいの子どもって絵本でもおもちゃでも、ゾウとパンダが描かれているものが特に好きみたいなんですけどね」。さらに売店をのぞく。ここにもパンダは"健在"。パンダのぬいぐるみに、パンダのバッグ、パンダのクッキーとレッサーパンダをはるかにしのぐ品揃え。パンダがいなくても"パンダ"は「主役級」だった。
といっても上野動物園の来園者には「パンダ目当て」の人も多かったはず。昨年は360万人の来園者数があったというが、今年は減ってないのだろうか?「昨年の同時期に比べて10~15%減っているが、今年は土日の天候がわるいこともあり、因果関係はよくわからない」と小宮輝之園長。ちなみにパンダの巨大ぬいぐるみなどは今後も撤去する予定はないそうだ。
「パンダ貸与」話は立ち消え?
36年続いたパンダの飼育が途絶えた上野動物園。リンリンの死から6日後の5月6日には、来日中の中国の胡錦濤国家主席が日本にジャイアントパンダを研究用として貸し出す意向を示したと報道された。年間1億円を超えるともいわれる「レンタル料」が問題となり、東京都などに抗議が殺到した時期もあったが、その後、あの「貸与話」はどうなったのだろうか?
「特段の進展はありません」。そう答えるのは東京都公園緑地部計画課の動物園担当職員。実際にパンダを借り受けることになれば、東京都と中国側の担当部局が契約する形になるため、まずは石原都知事の「判断」が必要とのことだが、現時点では「明確な判断」はないそう。また、北京五輪前の明るい話題として取り上げられたパンダ貸与の話だが、その6日後には四川大地震が発生。パンダの生息地や保護研究センターのある地域も甚大な被害を受けており、中国側の事情も変わっている。ジャイアントパンダが上野動物園に戻るかどうかは「未定」というのが現実のようだ。