はじめに、12型クラスのモバイルノートは可搬性と使い勝手を両立する上でベストバランスではないかと述べたが、dynabook NXでそれが端的に表れているのがキーボードだ。
横方向のキーピッチは19mmで、これは一般的なデスクトップPCのキーボードと同じである。しかも、モバイルノートにありがちな、キーボード右端近くのキーの幅が狭められているといったこともほとんどないので、これまでデスクトップPCしか使ったことのないユーザーでもタイプミスをすることはない。dynabook NXではボディの端ギリギリまでキーを配置することでこのキーピッチを実現しており、これ以上小さいサイズのPCで同じ使いやすさを得るのは不可能だ。
本体の横幅をギリギリまで使ったキーボードは、デスクトップPC同等のキーピッチを確保し、使い勝手にも妥協はない |
ポインティングデバイスはタッチパッド型。ボタンは本体端から若干内側についており、やや硬めなので、真上から下へ押すように操作することになる。慣れの範囲ではあるが好みは分かれるところだろう |
また、12.1型ワイド液晶ディスプレイにおける1280×800ドットという解像度は、これまで「サブノート」などと呼ばれたモバイルノートで多く使われた10.4型XGA(1024×768ドット)ディスプレイとほぼ同じドットピッチである。
さらに高精細な液晶パネルも既に存在はしているが、その分画面の文字等が小さくなるため、実用性ではやはりこのあたりが妥当な範囲だと言える。Windows VistaではフォントサイズのスムージングがOSレベルで可能とはいえ、ソフトによってはやはり不自然な表示になることもあるので、デフォルトで見やすい解像度であるに越したことはない。
メモリスロットには既に1GBのモジュールが搭載されており、増設時は取り外して交換となる。左上の丸く盛り上がっているところにあるのはHDD。このボディ形状により、圧迫時にもHDD自体には力が加わらないようになっている |
最近のモバイルノートではサイズと消費電力を抑えるため1.8インチのHDDが使われていることも多いが、1.8インチHDDはパフォーマンス面で十分満足できる製品が流通しているとはまだ言い難い。
だが、dynabook NXでは2.5インチ・5,400rpmのHDDを採用している。Windows VistaではXPに比べて全体的にストレージへのアクセス頻度が増しており、HDDの性能がこれまで以上に体感速度に影響するため、実使用時の快適性という点で有利だ。
もちろん、ランダム読み込み性能がさらに高いSSDモデルを選択すれば、さらに快適かつ長時間の駆動が可能になる。メモリは標準でオンボード1GB+拡張スロット1GBの計2GBで、拡張スロットのメモリを2GBに交換することで3GBへ増設することができる。
また、標準でOffice Personal 2007 with PowerPoint 2007がバンドルされており、Word / Excel / PowerPointのファイルを作成・編集することが可能。後から購入すると意外に高価なソフトのため、これはうれしいところだ(Web直販専用モデルではOfficeなしを選ぶこともできる)。
以上のように、サイズとしてはモバイルノートでありながら、メインマシンとしても十分使えるだけの性能を有している。東芝でもdynabook NXシリーズは「モバイル」のカテゴリには分類せず、あえて「コンパクト」と呼んでおり、外に持ち運ばずとも、自宅の中でスマートに利用できるマシンとして使ってほしいというメッセージが見え隠れしている。