スタジオ撮影のように仕上げる
――実際にメイクアップ機能を試して効果にびっくりしたのですが、どういう仕組みになっているのですか?
今村「簡単に言ってしまいますと、肌あれのように、あまりでこぼこしていないところを、画像処理でより平らに均して、元来くっきり鮮明な目やまつ毛など、ものすごくでこぼこしているところは均さないようにしています。また、人の肌の特徴となる色や輝度などを参考にしながら画像処理をすることで、この"メイクアップ"という機能が実現されています」
――日本人以外の人種ではどうなるんでしょうか?
今村「肌の色の取り扱いは慎重にならざるを得ませんので、我々も研究に励みました。黒人の方の場合も相当数のサンプルで機能を試しましたが、人種によらずほぼ同様の効果が得られました。全ての人種の方々が効果を見たときに、どんな印象を持つのか。そういったあたりを含めてかなり綿密なリサーチをした上でこの機能を搭載しておりますので、問題はないと判断しています」
カラーは上品さを表す色に
――ボディカラーのピンクゴールドはだいぶ控えめな色ですが、女性向けならもっと派手な色でも良かったのではないですか?
今村「企画段階では、メイクアップという機能に関してもふたつの方向性が考えられました。ひとつはプリクラ撮影のような、思いっきり遊んでお姫様のように写せます、という方向性です。もうひとつは、スタジオでモデルさんを撮影すると、メイクをしてライティングも何灯も使って顔にできる影を消したりしますが、大がかりな仕掛けなしに、まるでそう撮ったかのように撮るという方向性です。
女性の心情を考えると、いつでもベストコンディションなわけではないので、寝起きの時に撮ってほしくないなどといった要望があるのです。けれど、『きれいにしてやるよ』と言ったりすると皆さん怒るんですよね(笑)。『そんな口上はいいから黙ってきれいに撮ってほしい』と、皆さんおっしゃるんです。そこで『とにかく撮ってさえくだされば、きれいに撮れるんですよ』という、どちらかというと控えめで上品な路線を選びました。
ですからボディカラーももっとビビッドなピンクにすることもできたんですが、少し品のいい色を目指しました。我々はただレタッチするだけの機能をつけたわけではありません。女性の方の心情を考慮したときに、できるだけきれいに写りたいというのは皆さん同じだと思うんですね。『顔をいじってきれいにしてやるよ』というのは言語道断なわけで、メイクアップ機能では基本的なコンセプトである、あるがままに写すというコンセプトはあまり外していないつもりです」
――メイクアップ機能はオンオフだけではなく、レベル設定があるのが面白いですね。
今村「本来だったらオンオフだけでも良かったのですが、女性のニーズというのはそんなに大ざっぱなものではないと思うんです。人によって好みの違いもありますから、12段階で設定できますが、出荷時には6に設定しています。この機能を搭載するにあたって、実は国内と海外で事前にアンケートをとって、どのくらいの強度で効果をかけると人は満足し、どのくらいで拒絶反応を示すのかリサーチを行っています。それを根拠にして画像処理の強度も決めています。思いこみでおじさんが考えて作ったわけではありません(笑)。主に女性を主体にした大規模なインタビューを行って決めているわけです」……続きを読む