単走1回戦で16選手が絞り込まれると、1対1の追走トーナメントに突入する。ここからが、事実上の決勝戦ともいえる。追走トーナメントは、先行・後追いと順位を入れ替え、2回走る。ここからは土屋審査委員長に加えて、もう数名(ゲストが加わることもある)の審査員がジャッジし、意見を集約しての判断を行う。たまに、観客の強い要望でサドンデスに突入してしまうこともあるのが、そこら辺はD1らしいところである。

追走トーナメントのジャッジ

勝敗のポイントだが、まず先行は単走同様に自分のベストのドリフトを行う。それに対し、後追いはインに入れれば勝ち。着いて行けずに離されると負けだ。スピン、アンダーステア、挙動の乱れ、ドリフトの角度が相手よりも浅いなどは減点。また先行はインベタでブロックラインを取っても減点だ。勝った方がアドバンテージを獲得し、入れ替えた後の勝負でも再びアドバンテージを得られれば、勝利となる。上位陣どうしのバトルになると、判定も甲乙つけがたい状態となり、5.5対4.5といった微妙なジャッジになることも。2回走って引き分けの場合は、サドンデスとなる。また、ぶつけてしまうと、9:1などの割合ででぶつけられた側が大きなアドバンテージを得られる形だ。

追走トーナメント1回戦の組み合わせ

今回は最終戦でパワーが重要な富士ということで、どの選手もかなりエンジンを高出力にしてきているためか、トラブルが多め。追走トーナメント1回戦では、走る前に黒井がミッショントラブルでリタイアとなり、17位の日比野哲也が繰り上がり通過となった。組み合わせは以下の通りとなった。カッコ内は単走での順位。

第1戦 手塚強 「グッドイヤーレーシングB324R」(544ps)(1位)
日比野哲也 「サンライズアイオン86」(350ps)(17位)
第2戦 岡村和義 「ニスモ&HKS☆YF琉球偉人号」(570ps)(8位)
熊久保信重 「YUKE'Sクスコ チームオレンジ ランサー」(540ps)(9位)
第3戦 野村謙 「BLITZ DUNLOP ER34」(580ps)(5位)
上野高広 「TE3006ソアラ」(650ps)(12位)
第4戦 川畑真人 「TEAM TOYO with GP SPORTS 180SX」(600ps)(4位)
猪瀬徹 「FRIENDS 谷田部アリーナ S15」(600ps)(13位)
第5戦 斉藤太吾 「チーム22 フナッツ マークII」(800ps)(3位)
横井昌志 「MCR Factory S14」(450ps)(14位)
第6戦 今村陽一 「BOSSシルビア」(579ps)(6位)
ドリフト侍 「チーム侍プロジェクト FC3S 1号」(600ps)(11位)
第7戦 佐久間達也 「TEAM TOYO with GP SPORTS S15」(600ps)(7位)
末永正雄 「トラスト雨宮with TOYO D1-7」(500ps)(10位)
第8戦 古口美範 「DUNLOP 180SX」(530ps)(2位)
長澤淳吉 「PROGRESS-S15」(480ps)(15位)

前半ブロックは、手塚が不良キャラで人気の日比野に、野村が初年度第1戦から全戦参加しているD1界の鉄人上野に敗退。王者争いに絡むふたりが早くも消えてしまった。熊久保は、岡村のタービンブローによるリタイアで不戦勝。続く川畑も猪瀬のエンジンブローで不戦勝となった。後半ブロックは、まず斉藤が横井を下す。今村vsドリフト侍は、今回初のサドンデスに突入するが、そこで「チーム侍プロジェクト FC3S 1号」がマシントラブルとなってしまった。D1最強のロータリー使い末永、帝王・古口もベスト8に勝ち進んだ。

日比野の「サンライズアイオン86」。17位だが、リザーブ扱いで追走トーナメントへ

手塚vs日比野。パワーで劣る日比野だが、2回戦に進出

野村vs上野。ソアラが最終戦となるため、上野もいつも以上に力が入ったはず

斉藤vs横井。ビタビタに寄せて、横井のマシンが死角に入っている

今村vsドリフト侍は、今回初のサドンデスとなるが、そこでドリフト侍にマシントラブル……

佐久間vs末永。富士山をバックにツインドリフト

古口vs長澤。帝王のプレッシャーに長澤、屈したか