D1グランプリの2008シーズンも最終戦となる第7戦が、25・26日に富士スピードウェイで開催された。朝のうちは雨が降り、予選とは打って変わって決勝はウェットコンディションかと心配されたが、無事、ドライの中で行われた。注目の王座争いは今回まで持ち越され、「チーム22 フナッツ マークII」に乗る斉藤太吾が97点、それを91点で追うのが「BOSSシルビア」に乗る2003年王者の今村陽一。このほか、数字上で王者を狙える選手が2名いる。「BLITZ DUNLOP ER34」に乗る80点の野村謙と、「グッドイヤーレーシングB324R」に乗る72点の手塚強だ。しかし、実際のところ、ほぼ斉藤と今村に焦点は絞られたといえよう。斉藤が初戴冠なるか、今村がD1史上で初となる2度目の戴冠となるか、熱い視線が集まった。
審査区間は300R〜ヘアピン〜100Rの逆走ルート
初期のころはショートサーキットで行われることが多かったD1だが、最近は国際格式のレーシングコースの一部を使用するケースが当たり前のようになってきている。富士は、今シーズン行われたサーキットの中では、岡山国際サーキット並ぶ超高速サーキットだ。300Rでは時速200km/hを超え、ヘアピン手前のスピードガン計測地点でも速い選手は160〜170km/hを出す。大パワーが有利のサーキットだ。審査区間はいつもと同じで、300Rの手前から始まり、ヘアピンを抜け、100Rの先までを逆走。D1では、F1やSUPER GTなど通常のレースとは逆走する形で使用している。
さらに詳細を説明すると、300R手前の指定位置手前から振り出し、300Rは直線ドリフト状態で最高速(時速200km/hオーバー)をマークする速度で飛び出していく。300Rの後の120Rの辺りではアウトまではらまないようにしつつ抜け、その先でヘアピンにアプローチするために切り返しを行う(左向きの車体を右向きにする)。アウトまではらまないようにしつつヘアピンに進入し、この辺りでスピードガンによる車速計測。速度計測地点を過ぎるとアウトいっぱいまではらんで縁石に寄せ、そこからクリッピングポイントに寄せていく。クリッピングにはおおよそ1.5m以内まで寄せるのが美しい。そして脱出となり、アウトにはらみつつ、100Rへ、という具合だ。なお、今シーズンは途中からルールが変更となり、最高速は同点の場合の順位づけにのみ参考にされる形となっている。これは、ドリフトよりも最高速に比重が置かれてしまうのを防ぐためだ。
王座争いをする4選手それぞれの条件
続いては、4選手のそれぞれの戴冠のための条件を紹介しよう。なお、D1は単走1回戦で100点を獲得した場合は、ボーナスの+1点がある(以下、「+1点」)。そのため、同じ順位でも2種類の得点があり、「何位以上・何位以下」の表記だと複数パターンを書く必要があるため、説明は順位ではなく点数でさせていただく。また、ポイントシステムだが、1位25点、2位21点、3位18点、4位16点、5位13点から8位10点までは1点刻みで、9位8点から16位1点までも1点刻みとなっている。それから、今村以下は、自力での王座獲得の目は既にない。
まず97点で1位の斉藤だが、今村の得点状況に関わらず、総合得点を118点以上にまで伸ばせば王座獲得だ。要するに、2位以上を獲得すればいい。斉藤は、決勝戦に進出した時点で王者になれるというわけである。
91点で2位の今村は、斉藤が19点以下、なおかつ野村に抜かれないために今村自身が16点以上を獲得するのが絶対条件。その上で、斉藤を7点以上上回ることができれば、王座獲得だ。
80点で3位の野村の絶対条件は、まず手塚に追いつかれないために19点以上を獲得すること、斉藤が8点以下、今村が15点以下の3つが絶対条件。その上で、斉藤よりも18点以上上回り、なおかつ今村よりも12点以上上回れば、王座獲得だ。
72点で4位の手塚はかなり厳しい。斉藤が無得点で、今村が6点以下、野村が17点以下、そして自身が優勝という条件がすべて揃わないと逆転王座は獲得できない状況だ。