マイクロソフト社内の「壁」をぶち壊す役目
さらに笹本氏は、「壁のない世界」とはWindowsブランドのコンセプトでもあり、「社内に向けた意識改革でもある」と語る。
笹本氏 「過去10年くらい、コンシューマーよりも企業に矛先を向けての成長があって、いつの間にか『この機能は何だ』って、スペックのところばかり気にするようになってきてしまった。今回の『Life without walls』は、単なるブランドキャンペーンではなく、失われたコンシューマーとのエンゲージメントをもう一度再生させるといったミッションステートメントみたいなものでもあるんです。ソフトウェアのシームレス化を伝えていくブランドのイメージもありますが、社内に対してのメッセージとしても大きいと感じています。
日本について言えば、7月に新しい体制になって、今はまだ3~4つの事業を統合するシナジー効果を出せているかと言えば、まだそうではない。Vista、 Live、Mobileに加えてMSN、Live Searchも連携させたいしさせるべきだと思っているが、まだまだできていないことがたくさんある。個人的に僕の立場で言うと、組織間の壁をぶち壊して連携させることが重要なところだと思ってやっています」
「社内の壁」壊しの真っ只中ということだ。
ムーブメントを起こしたい
今年のCEATEC JAPAN 2008はマイクロソフトにとってとても意味があったと、笹本氏は言う。「今までになく社内からの参加も多く、去年と比べてもだいぶ違うので、それぞれが自信を持ち始めたのではないかと思います。社内、社外を両方やっていかないとマイクロソフトと言えども、大きなムーブメントは起こせないですね」と語る笹本氏。「ムーブメントを起こしたい?」との問いに、
笹本氏 「思いはありますね。そのために呼ばれたと思っています。ムーブメントを起こしてしまえば、社内には優秀な人たちが揃っているので回っていくはずです。この最初のグーッと動かすところを、ぎっくり腰にならないように支えながらやっている状況かな(笑) 社内の連携で動力が最大化されていくはずです」
2006 年にバルマー氏が「オンライン戦略だ」と宣言してから今まで、方向性を変えたり動きを止めたりした1年はなく、笹本氏には、(1)ソフトウェア+サービスを提供し、(2)エコシステムで最大化していく、(3)デバイスは、マルチタッチでより直感的な世界になっていく、というロードマップはハッキリと見えているという。次はPC市場の現状についてだ。