AFポイント移動や「露出シミュレーション」など改良されたライブビュー

ライブビューは起動ボタンが用意された。イージーダイレクトと兼用だが、撮影時はライブビュー専用となる。しかし、標準状態ではライブビューを「使用しない」になっている。オートフォーカスは、クイックモードとライブモードに加え、顔優先ライブモードが追加された。顔認識はAF枠の形状も異なり、すぐにそれとわかる。

使い勝手は悪くない。ライブビュー中でも再生ボタンでちゃんと再生されるし、メニュー操作が終わればライブビューに戻ってくる。ただ、タイマーでオフになると、ライブビューには戻ってこない。唯一引っかかるのは、オートフォーカスがシャッターボタンででなく、「AF-ON」ボタンで動作することか。

位相差式ではライブビュー中にAFポイントが移動できない。これは従来どおりなのだが、EOS 50Dではライブビューを終わらせなくても、AFボタンでメニューを開いて変更できるようになったことで、ずいぶん使いやすくなった。

そんなわけでライブビューを使うならコントラスト検出AFがオススメなのだが、コントラスト検出でのピント合わせはかなり遅く感じた。位相差式がすばらしく速いことと、他機種のライブビューのフォーカス速度が上がってきたためもあるのかもしれない。コントラスト検出のバリエーションである顔認識モードでも、顔は検出するのにピントが合わないという事態も起こった(レンズはEF-S18-200mm F3.5-5.6 ISを使用)。再生時、ピント位置からの拡大はできないが、位相差式、コントラスト検出のいずれでも、どこでピントが合ったかの表示は行なってくれる。

ライブビューでのレリーズ音はとても静かだ。AFモードに関わらず、通常ではくぐもった音が2回するが、うるさくはない。コントラスト検出で静かなのは分かるが、位相差式でも非常に音が小さい。うまくチューニングしたものだ。さらにEOS 50Dには電子先幕シャッターを用いた「静音撮影」として「静音モード1」と「静音モード2」が設定されている。「静音モード2」ではボタンを離した時にカメラが動作する。

また、ライブビュー機能設定の「露出シミュレーション」はとてもいい。ライブビューは撮影前にどういった画像になるか見られるのがメリットのひとつ。例えばホワイトバランスの設定がライブビュー表示にも反映されるわけだ。しかし露出については長短あって、露出に連動させるとライブビュー表示が見づらくなることもある。この「露出シミュレーション」では、実際の画像に近い明るさにするか、ライブビュー表示が見やすいように自動調整するか、を選択できるのだ。普段は前者の設定で画像の明るさがつかめるようにしておき、見づらいときに後者のようにするのがよさそうだ。ちなみにホワイトバランスやピクチャースタイルは後者の場合でもちゃんと反映される。

ライブビュー。専用ボタンが設けられるなど、使い勝手はずいぶん良くなった

ライブビューの画面。オートフォーカスはコントラスト検出、フレーム表示ありの状態

ライブビュー中に拡大表示が可能。ここまで大きくなれば、ピントも確認しやすい

ライブビュー中に各種設定ボタンを押すと、このように画像に重ねてメニューが表示される

こちらは「AFモード/ドライブモード」ボタンによる選択。AFポイントもライブビューを負わせずに選択できる

ピクチャースタイルは、モード変更と詳細設定がひとつの画面でできる

顔認識画面。顔認識は素早く、ほぼ瞬時に行なう。ピントが合うと枠がグリーンに変わる

位相差式でのライブビュー。拡大枠とAFポイントが別に存在する

左の状態で拡大すると、ピント位置とは別のところを拡大する

絞りを知らなくても絞りの操作ができる

EOS 50Dでは新しい試みとして、「クリエイティブ全自動」が設けられた。モードダイヤルを「CA」に合わせるとこのモードになる。「絞り」などの専門用語を知らなくても、ある程度は意図どおりに撮影できる。仕組みは簡単で、背面に表示されるメニューのうち、「背景:ぼかす←→くっきり」では絞りが1段ずつ変化し、「写真:暗く←→明るく」では2/3EVステップで露出が変化する。

カメラというのは実はものすごく難しい機械で、例えばキヤノンが設定している「かんたん撮影ゾーン」と「応用撮影ゾーン」では、天と地ほどもユーザーに求められる知識レベルが違ってくる。コンパクトカメラを買ったばかりの人に、「このときは絞りが開けられなくて、きれいにボケなかったんだよね」なんて話をしてもわかってもらえないだろう。「クリエイティブ全自動」はこの両者の間を埋める意欲的な機能だと思う。

強いて挙げるなら、AFポイントがオートのみになるのが残念。個人的には、どこでピントを合わせるかは、写真にとって非常に重要な要素だと思う。ついでに、ライブビューもクリエティブ全自動をはじめ、他の「かんたん撮影ゾーン」でも使えると嬉しい。

クリエイティブ全自動のメニュー。「背景」を変更して撮影した。メニューの左端から1、2、3とした場合、中央:1、右:2。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/32mm(51mm相当)/クリエイティブ全自動/ISO 100/WB:オート/PS:スタンダード]

左:3、中:4、右:5