ボタンやダイヤルはGood。マルチコントローラーは……
EOS 50DのボディサイズはEOS 40Dと全く同じ[145.5(W)×107.8(H)×73.5(D)mm]。重さは10g軽くなった(730g、本体のみ)。グリップは大きめで、しっかりとしたグリップが可能だ。反面、手の小さな人はちょっと操作が大変かもしれない。
ボタンの配置もEOS 40Dとほぼ同じ。場所によって形状やフィーリングを変えるなど、よく考えられている。ボタンサイズは小さいが操作はしやすい。ただ、モニター下のボタンは、三脚を使った撮影では、指を押し込むように操作しないといけない。また、十字キー(マルチコントローラー)は、メニューを横に移動しようとして下に行ったり、解除になってしまうことが稀にあったため製品では改善されていることが望ましい。AFポイントの選択も、十字キーを使うよりサブ電子ダイヤルを使ったほうが素早く操作できた。EOS-1DのようにAFポイントが45点もあると大変だが、9点しかないのならダイヤルで十分だ。
レリーズは半押しがとても軽く、全押しで重くなるというわかりやすい設定。レリーズに力を入れ過ぎないように注意したい。レリーズ音は軽めの音で、パカポン、パカポンといった感じになる。音が小さめなのがいい。
モニターは見やすい。92万ドットはダテではない。しかし、EOS 50Dに限った話しではないが、晴天下ではやはり見づらくなる。そろそろ何かブレークスルーはないものだろうか。
優遇されるピクチャースタイルの呼び出し
EOS 50Dはとてもボタンが多い。それぞれのボタンには機能が割り振られていて、直接変更ができる。たとえば「AFモード/ドライブモード」ボタンを押すと、メイン電子ダイヤルでAFモード(ワンショットなど)、サブ電子ダイヤルでドライブモードが変更できる。これはわかりやすくていい。
従来同様「ピクチャースタイル」には専用ボタンが用意されている。以前はピクチャースタイルの切り換えは専用ボタン、詳細設定は「MENU」ボタンからと分かれていたが、EOS 50Dでは、切り換え画面から「INFO.」ボタンでダイレクトに詳細設定へ行けるようになった。これは進歩だ。次は、ホワイトバランスも選択メニューから詳細設定へ移行できるようなることを期待したい。
通常メニューは画面上段にグループが並び、その下に各項目が並ぶ構造。十字キーでも操作できるが、メイン電子ダイヤルでグループ移動、サブ電子ダイヤルで上下に移動できるのがとても便利。そのまま「SET」ボタンを押して素早く設定できる。これはキヤノンが長年培ってきた操作性の真骨頂ともいえる部分だ。メニューはスクロールせず、一覧できる。最後に使った機能をちゃんと覚えているのもいい。ただ、ライブビュー設定などメニューの深いところは記憶しないようだ。
気になるのは、グループ分けがわかりづらいことか。「カードなしレリーズ」や「周辺光量補正」が撮影メニューで、「高輝度側・階調優先」や「オートライティングオプティマイザ」、「ミラーアップ撮影」がカスタムメニューだったりと、初回の操作では迷いも生じる。ノイズリダクション関係も撮影メニューにあると便利だろう。
撮影情報の表示画面。黒地に白文字でとても見やすい |
「ISO感度/ストロボ調光補正」ボタンを開くとメニューになる。メインダイヤルでISO感度を、サブダイヤルで調光補正を設定する |
同じく、「AFモード/ドライブボタン」でのメニュー。2秒タイマーは最初から用意されている |
情報表示画面から直接設定変更が可能に
従来モデルと操作性の面で大きく変わったのは、情報表示画面からも直接設定が変更できるようになったこと。「クイック設定画面」と名付けられた情報表示画面で十字キーをまっすぐ押すと機能が選択され、その状態でダイヤルを回すとダイレクトに設定が変更できる。また十字キーをもう一度押し込むと、選択肢の一覧が表示される仕組みだ。
ただ、ここでも十字キーの操作に手間取る場合には、カスタム機能のC.Fn IV 3で「SET」ボタンに「クイック設定画面」を割りつけると、変更画面に入りやすくなる。ただしこの場合でも項目の移動は十字キーを使わなければならない。
ここまで設定関連の操作性全体をみると、いくつもの方法から選べるのはいいが、細部で統一が取れていないように感じた。メニューはメインダイヤルでグループが移動するのに、C.Fnに入るとサブダイヤルのみの操作になる。また、情報表示からの設定でも、項目の移動はメイン電子ダイヤル、変更はサブ電子ダイヤルのように割り振れば、さらに使いやすくなるのではないか。メイン/サブの両ダイヤルを中心にした操作こそがEOSの上位モデルにふさわしいだろう。