基調講演で最初に発表されたのは「MacBook Pro」だ。アルミニウム・ユニボディによって、主な構造パーツが50%に減少した。性能と省電力性に優れたGeForce 9400Mを搭載するが、それではグラフィックス性能で従来モデルに劣る。そこで「GeForce 9600M GT」というディスクリートな新GPUも併載し、状況に応じて使い分けられるようにした。9600M GTは32個のグラフィックスコアを搭載、120Gflopsの処理性能を備える。バッテリー駆動時間は9400M使用時は5時間、9600M GT使用時は4時間となっている。
「MacBook Air」のアップデート
続いて「MacBook Air」のアップデートが取り上げられた。GeForce 9400Mを搭載する。ただし熱対策から、従来モデルのIntelチップの最大4倍までに性能が抑えられている。より大容量な120GBのHDD、または128GBのSSDを装備する。
「24インチLED Cinema Display」
次にMacBookの話題から離れて、「24インチLED Cinema Display」が紹介された。新MacBookシリーズは全ての製品がMini DisplayPortを装備する。新LED Cinemaディスプレイは1本でMini DisplayPort/ USB 2.0/ MagSafeに対応するケーブルを持つ「MacBookのためのディスプレイ」となっている。
「One more thing...」
最後に「One more thing...」が登場し、「MacBook」に話題が移った。まず従来デザインのポリカーボネート樹脂筐体のホワイトモデルを、エントリーモデルとして米国では999ドルで提供すると発表。これまでのMacBookのエントリー価格は1099ドルだった。
そして新MacBookの発表だ。MacBookは、これまでで最も売れているMacだという。そのベストセラーに対して、ユーザーから寄せられた要望のトップ3が「メタル筐体」「グラフィックス強化」「LEDディスプレイ」だった。新MacBookは、アルミニウム・ユニボディとGeForce 9400Mを採用、全モデルがLEDディスプレイを備える。「これらを(MacBookユーザーが)手に入れたければ、昨日までは1,999ドルを費やしてMacBook Proにアップグレードする必要があった」とJobs氏。新MacBookは1,299ドルと1,599ドルの2つのモデルがあり、機能対価格という点では700ドル以上も割安であると強調した。
14日のスペシャルイベントでMacBookシリーズの全ての製品が新世代へと移行したが、Appleが特に力を入れているのは普及帯向けのMacBookだろう。最初にMacのシェアを強調し、「One more thing...」としてMacBookを発表した点からMacBookに対するAppleの意気込みが伝わってきた。
iBookやこれまでのMacBookにはエントリー製品という雰囲気があり、Proとの違いがはっきりとしていた。新MacBookシリーズでは、MacBook Airが軽量・薄型のモバイルMacである一方で、MacBookとMacBook Proの差が格段に縮まった。プロ向けの性能を必要としないユーザーにとっては、MacBook Proの13インチモデルがMacBookという位置づけになってもおかしくない。
逆に言えば、999ドルのエントリーモデルという保険を残したものの、Appleは「高機能を手ごろな価格」で勝負を仕掛けてきた。ノートパソコンのメインストリームが1,000ドル以下になりつつある昨今、値札だけの比較ではリスクのある戦略とも考えられる。Jobs氏がアピールした"700ドル以上も割安"という品質と機能が、一般コンシューマの理解を得られるか。まずはMacが20%超えを果たせるかが注目である。