新MacBookシリーズには3つの大きな特徴がある。まず新しいノートパソコンの製造方法だという「高精度アルミニウム・ユニボディ (Precision aluminum unibody)」。これについてはデザイン担当シニアバイスプレジデントのJonathan Ive氏が説明した。

ノートパソコンは、薄く、軽く、そして頑丈で壊れない製品が求められる。デザイナーにとっては難しい製品だ。従来のMacBook Proではマグネシウムダイカストの内部フレームと薄いアルミニウム製の底部ケースの組み合わせで堅固でスリムな本体を実現していたが、複数のパーツの組み合わせでは薄くて軽いデザインの追求に限界を感じていた。そこで考え方を根本から改め、1枚のアルミ板から軽くて堅固なボディを削り出す新設計に取り組み始めた。高精度アルミニウム・ユニボディが採用されるのは今回が初めてではない。1月に発表されたMacBook Airが、すでに同手法で製造されている。今回の発表によって、MacBookシリーズの全製品が新世代のノートブックMacのボディをまとうことになる。

MacBook Proの従来モデルから、これまでの内部構造を説明するJonathan Ive氏。複数のパーツから成る内部フレームと底部ケースの組み合わせで強度を確保

さらにフレーム補助とパームレストなどを追加すると複雑な構造になる上、スリム化も難しい

MacBook Airで導入された高精度アルミニウム・ユニボディ。「従来よりも軽く、そして強いボディが可能になった」とIve氏

レーザースキャニングやレーザーピアシング、CNCマシーニングなど、いくつものステップの中からロケーティングやラフカットなど一部を解説

NVIDIAと共同開発したという統合型グラフィックス機能

ダイの70%をGPUが占める「GeForce 9400M」

2つ目は、NVIDIAと共同開発したという統合型グラフィックスだ。NVIDIAがデスクトップ製品向けに持ち込んできたチップセット統合型GPUのパフォーマンスにAppleの技術者は興味を引かれた。だが、それをデスクトップではなく、ノートブック製品で使いたいと考えた。それから長期にわたる両社の共同開発の末に、新MacBookシリーズで採用されている「GeForce 9400M」が誕生した。16個のグラフィックスコアを搭載、演算能力は54Gflopsだ。ダイの70%をGPUが占める。MacBookに搭載されてきたIntel GMAとの比較で最大5倍の高速化が確認されたという。従来モデルのMacBook Proに搭載されている「GeForce 8600M GT」との比較でも、統合型GPUながら、3D性能で8600M GTの55%、グラフィックス性能で82%というパフォーマンスを実現している。

ゲームでは2.8倍~6.2倍のパフォーマンス向上

プロ向けのMacBook Proに搭載されているGeForce 8600M GTとの比較(3D性能)

プロ向けのMacBook Proに搭載されているGeForce 8600M GTとの比較(グラフィックス機能の総合性能)

統合型グラフィックスの進化は、MacBookでは3Dゲームやマルチメディア機能の可能性を広げ、MacBook Proではより長時間のバッテリー駆動時間を実現する。MacBookの世界の広げる要因になる。

ガラス製マルチタッチトラックパッド

ガラス製のマルチタッチトラックパッド

最後はガラス製のマルチタッチトラックパッド。MacBook Airで導入されたマルチジャスチャー対応の大型トラックパッドに、クリックボタンが統合された。トラックパッド全体を押し込むとクリックできる。iPodのクリックホイールを彷彿させる機構だ。

従来モデルとの比較でトラッキングエリアは39%拡大。ガラス素材の採用は、なめらかな操作とキズや摩耗に強い丈夫さにつながっている。マルチタッチジャスチャーでは、新たに4本指を使ってExposeやアプリケーションの切り替えを操作できる。ソフトウエアベースのクリック(=タップ)も可能で、マルチボタンの設定も可能だ。

4本指でアプリケーション切り替えを呼び出し、1本指でアプリケーションをスクロールして選択。すばやく操作できて便利!