女の子たちへのメッセージ

――酒井さんの「理系のための恋愛論」ってある意味、男性に対する女性からの要望がテーマですよね。川島さんの「人が怖い」もどちらかといえば男性に対するアドバイス的な面があります。逆に女性に対してのメッセージってあります?

川島 最近の男性は仕事に対する意識とか向上心を女性に求めると思うんですよね。全体的に収入も低くなっているじゃないですか。「オレが経済的に支えられるのか?」って。女性もしっかりしてくれると恋愛もしやすいっていうか。三浦展さんの著書『下流社会 -新たな階層集団の出現-』(光文社刊)で、高収入の男子は高収入の女子と結婚するって書かれていますが、私のセミナーに来る高収入の男性を見ていると、収入、容姿もそうなんですけど、自分の仕事を理解してくれているかどうか、自分を高めてくれるかどうかまで見ている気がします。

女性も、いい男をゲットするにはそういうところも考えなくちゃいけないのかなって。女性って恋愛至上主義じゃないですか。恋愛がテーマの少女雑誌ばっかりずっと読んで育ってきた。僕は「少年ジャンプ」と「少女マンガ」の違いをよく考えるんですけれども、女性は小さな頃から「恋愛」に対して貪欲じゃないですか。男はそこまで恋愛にのめり込まないで「成功」「自己実現」とかを考える。そういう男子に対する共感力が必要な気がします。仕事に対する理解がある女性が僕自身はありがたいと思います。

酒井 私の場合は「働かない」という選択を考えなかった。男の人にプレゼントをもらうよりも、自分で働いてお金で買うほうがうれしかったりするんですよね(笑)。貧乏性だと思います。でも、歳をとってくると男性も女性も「自分がないとつらいんじゃないか」って思いはじめました。女性の場合、若い時はキレイとか可愛いとかだけでやっていけるけど、美しさは年齢で色あせてしまいますからね。

川島 それはちょっとつらいモノがありますね(笑)

酒井 最終的には、男子を理解して、支えてあげられる女性になるのがいいのかなと思います。もちろん、男子も女性にとってそういう存在でいてほしいですけど。その点、女性はコミュニケーション能力が高いので、やってできないことはないと思います。ただ、男子に対して「許し」の気持ちが少ない。だから、例えば男の人が勇気を出して、告白しても「はぁ?」とか言っちゃう。そうするとますます男性はショックで女性に対して自信をなくしちゃいます。自分には彼との未来はないかもしれないけど、彼の今後を考えると、いつか彼をOKする女子もいるかもしれないし「本当にごめんね」と言ってあげる優しさを持って欲しいです。

川島 優しいですね(笑)

酒井 イタリアに住んでた読者からメールをもらったんですけど、日本と違って女性は男性から日常的に誘われたりするそうなんです。でもそれに対して「ごめんね~、今日はほかに約束が入ってて」なんて上手く優しく返してあげる。「はぁ?」なんて言って無視したり極力傷つけたりしない。女性側の断り方が上手い。そうすると男子も自信がでてくる。女性も優しい断り方を勉強するべきだっていうのがメールの結論でしたね。実はそういう私も、若い時は強気だったので「はぁ?」とか平気で言ってました(笑)。なので、若い女の子からメールで「酒井さんがコラムであんなこと書いているせいで、変に強気になった男子もいます。奨励しないでください」って言われることもあるんですけれども、男子の将来を考えて「育てる」気持ちで優しく接してほしいなと思います。

川島 たしかにそこで完成されているっていう風に女子からみられるとつらいと思います。これから育っていくっていう目で見てくれれば(男としての)味わいも出てくると思うし。

酒井 私の父は、母や娘ふたりを「かわいいね」ってホメるのが日常的で、男の人ってみんなそういうものだと思ってました。でも、自分が恋愛すると、現実は違っていました。なので、「はい、練習。私を見て『好き』って言って」ていうと相手は「ええ~っ!い、いえないよそんなこと!」って引くんですけど、何回も言うと向こうも慣れて来ちゃう(笑)。男性にしても「慣れ」の問題なんだと思いますね。最初は照れるかも知れないけど、そのうち平気で「可愛いよ~」と言えるようになります。

――まとめとして、やはり男子は女子を「ホメる」っていうのは大事ですか。

川島 基本そうです。ホメるうちに慣れてくる。

酒井 ホメる以前に挨拶すらしない男子が多いんですよ。そういう男子に限って、女子から明るく挨拶されると「あの子、オレに気があるのかな」って勘違いしちゃう。たいていの女子は誰にでも明るく挨拶するものなんです。あと、会話に関して「髪切ったんだね」ってホメるのは良いんですけど、「ちょっと短すぎない」なんて言ってしまうのはNGです。本人も気にしているのに(笑)。ただホメるだけじゃなくて気が利いたことを言おうとして逆に痛いこと言っちゃうんですよね(笑)

川島 男子同士だとさっきのポライトネス理論じゃないけど、ホメた後にちょっと皮肉ってみるってのもあるんですけど、対女子ではそうはいかないんですね。

――お二人の対談をおうかがいしていて、かたや経験や仕事・取材で人間観察をなさってきた酒井さんと、かたや心理学や対人コミュニケーション理論を勉強なさってきた川島さん、バックボーンが全く異なりながらも、「人間関係」観が非常に共通する部分が多かったのが非常に興味深かったです。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。

(構成:マイコミ新書編集部、写真:石森亨)


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