「人が苦手」な「理系」男子。どうすればいい?

――もともと「理系のための恋愛論」はマイコミジャーナルの前身の「MYCOM PC WEB」から連載が始まって、その頃ネットをやってるのはマニアが多く、特に「MYCOM PC WEB」はマニアやIT専門職を対象としたニュースサイト色が濃かったんです。連載当初は、そういったマニアやいわゆる「理系」の人に「もっと対人コミュニケーションを何とかしようよ」と訴えるモチーフが今以上に強かったと思います。一方、川島先生の著書『人が怖い』でも明確に「講師としての経験上、明らかにSEやエンジニア職は営業職・販売職と比べ、コミュニケーション力が不足している」と明言している部分があります。しかし「理系」の立場として一体どうすればいいんでしょう?

川島 環境を変えるのが重要ですね。環境にはマクロ的なものとミクロ的なものがあって、マクロなものは会社レベルの取り組みです。プログラマみたいに一日中座って仕事しているのであれば、会社としてなんらかの対応が必要です。そこまで会社がケアできるかというと難しいですが、社員のコミュニケーション能力と企業の収益・業績は明らかに正比例関係にあるいう学者の説もあります。そのくらい経営者は意識的に取り組まないとダメだと思います。

ミクロだと個人の努力の問題になります。サークルに入るとか、飲み会に率先していくとか、習い事を始めるとか人と接する環境を作っていく。専門的にいうと、対人コミュニケーション力の向上には「認知→連合→自動化」というプロセスがあります。「認知」とは本などで知識を得ること。「連合」とは実践。「自動化」はそれが成功した段階です。

酒井 英会話とかスポーツみたいなものですよね。

川島 そう、座学だけで英会話はできません。一番難しいのは「連合」の段階。たとえばオウム返し法(バックトラック法)というコミュニケーション能力向上法があって、酒井さんが「昨日横浜に行きました」って言ったら「へー、横浜に行ったんですかー」。「買い物に行ったんです」って言ったら「買い物行ったんですかー」といって、相手のコトバを反復することにより、相手との距離を詰め、共感を得ていく。でも最初はなんか違和感がある、「なんでこんな事言わなきゃなんないんだ」っていう。その違和感が100%からどんどん低下すれば、身についてきた証拠です。

酒井 それって女の人の方が得意ですよね。「買い物行ったの」「そう? 私も行ったの!」って。

川島 そう、女性って人間関係を築く力が男子より強いんです。逆に男って力が強くて一人でも生きていけるんです。

酒井 よく言いますよね。大昔から男は一人で狩りに行けるけど、女は洞穴の中でみんなとやって行かなくちゃいけないって。

川島 それで女の場合は集団で生きることが死活問題になります。先天的に女の人って聞き上手になるし、共感性が高いですね。男子は個人プレイでなんとかなる。学校で一緒にトイレ行くこともないし(笑)