職人技にブランドイメージ戦略をかけるセイコー

女性用電波時計では迎え撃つ形になったセイコーでは、イメージキャラクターに菅野美穂を起用した「LUKIA(ルキア)」で対抗する。機能的には、前シーズンと変わりはない。もっぱらデザイン的な魅力アップがアピールポイントだ。20代でオンもオフもポジティブに生きる女性のウキウキした気持ちを、人気のピンクゴールドを取り入れたり、ラインストーンを用いるなどデザインで表現したという。機能よりデザインが重視されがちだというレディスウォッチだが、"篠原涼子"派と"菅野美穂"派のいずれに軍配が上がるか注目される。ルキアは10月上旬より順次発売。3万9,000円(税抜)から。

セイコーブース

セイコーの男性用電波時計では、大きな動きは見られなかった。ただ、新デザインとなった「SPIRIT(スピリット)」のシンプルでシャープな外観は、普段使いの電波時計として好感が持てる。その一方で、同社のもっとも熱い想いが伝わったのは、むしろ機械式時計だった。会場に入るとまず目に飛び込んできたのは、「BRIGHTZ PHOENIX(ブライツ フェニックス)」だ。公式な発表前ということで詳細はまだお伝えできないが、市川海老蔵やダルビッシュ有等を起用した大々的なキャンペーンが予定されている。

11月下旬に発売される限定モデルは、岩手・雫石でひとつずつ手作りされるもの。同社の旗艦ブランドである「Grand Seiko(グランドセイコー)」の1ランク下に位置付けされるが、そのポテンシャルはグランドセイコー並みだという。セイコーでしかできない技術を、「ジャパンプライド」として団塊ジュニア世代に伝えたいとの熱い想いが込められたブランド戦略だ。場内には歴代の「グランドセイコー」も展示され、時計職人による組み立ての実演も行なわれていた。他メーカーの追随を許さない分野でのブランドイメージの確立が、同社の目指す方向かと思わされた。

機械式時計で我が道をゆくオリエント

オリエントは、徹底して機械式にこだわる。「機械式時計おもしろ計画」をテーマとし、60年近い経験を活かし、機械式時計の世界をもっとおもしろくする商品づくりを行っていくのだという。最高峰ブランド「ROYAL ORIENT(ロイヤルオリエント)」ではシンボルマークをリニューアルし、新モデルを加えてラインナップの充実を図っている。そんなオリエントで強く印象に残ったのは、「OrientStar(オリエントスター) レトロフューチャー」だ。カメラモデルやバイクモデルなど、それぞれのメカのイメージを時計デザインに落とし込んでいる。11月発売予定のモデルでは、ブラックとシルバーで精悍なイメージを演出した。男心をくすぐる遊び心があって、時計としても魅力的だ。まさに「機械式時計おもしろ計画」。ちょっと一台欲しくなった。

オリエントブース

もちろん女性用にも力を注いでいる。モデルの橋本麗香をイメージキャラクターに起用した「Lady Rose(レディーローズ)」では、ジュエリーの趣きがあるアンティーク調のアクセサリーウォッチを訴求。イメージキャラクターをEMIが務める「io(イオ)」では、ポップな流れ星をテーマにデザインした。キュービックジルコニアのキラキラ感や、星型りゅうずなど、ティーンの女の子を中心に人気が出そうだ。セイコーやシチズンとは少し違う隙間をうまく狙った商品デザインが楽しい。……続きを読む