テレビドラマにもなった人気小説『悪夢のエレベーター』が9月12日より、ダンカン演出で舞台化される。エレベーターという密室に閉じ込められてしまった4人を描くコメディサスペンスの紅一点・カオルを演じるのは、『妖怪大戦争』(2005年)のヒロイン役で注目を集めた高橋真唯。どこかしら謎めいた雰囲気を漂わせる彼女に、笑いと恐怖が渦巻く同作の魅力についてうかがった。
――初めて原作『悪夢のエレベーター』を読まれたときの印象はどうでしたか?
高橋真唯(以下、高橋)「最初は、自分が演じるカオルという役を追いながら読もうと思っていたのですが、物語がどんどん展開していくので、普通に読者の気分になって楽しんでしまいました。で、『こういうことだったんだ』ってドキドキしながら読み終わって、『あれ? カオルを追うのを忘れてた! 』って(笑)。そのくらい引き込まれていました」
――確かに、どんでん返し続きで最後まで気が抜けない展開ですよね。
高橋「こんな面白い話だったら、『演じるのが面白そう』って思ったし、お客さんにとっても面白い舞台になるはずだと思えたんです。冷静に考えたら、カオルは二面性がある難しい役だって気付いたんですが(笑)、新しいことに挑戦してみようかな、と。『よし戦ってみよう』という気持ちですね」
『悪夢のエレベーター』あらすじ
バーの副店長・小川(片桐仁)が目を覚ますと、そこは急停止したエレベーターの中だった。居合わせたのは見るからに胡散臭いヤクザ風の男・富永(吹越満)、緑色の服を着たバッタのような、おたくのような男・牧原(中村倫也)、そして女子高生のカオル(高橋真唯)。携帯電話も時計もない狭い密室の中で彼ら3人の犯罪歴が次々と明らかにされ、全員の精神状態が極限に達したときに事件は起こる――。
――以前にも舞台に出演されていますが、テレビでの仕事と舞台上で演じるのでは感覚的に違いますか?
高橋「ミュージカルや朗読劇などステージに立つのは4度目ですが、やっぱり毎回緊張はしますね。舞台では、お客さんからの反応がダイレクトに返ってくるっていうのもありますし、動きも全てお客さんのことを考えてやらないとですし……。連続して1時間半とか2時間とか止まらずに演じるので、集中力も保ち続けないといけないですね」
――"訳ありな少女"であるカオルを演じていくうえで、苦労していることはありますか?
高橋「最初から、壁、壁、壁ってかんじで、壁が何枚もありますね(笑)。それをクリアできているのかは、舞台が終わったときにしかわからないですけど。カオルは、気持ちの波が激しい女性なので、そのテンションの持っていき方も難しいです。特に前半は、前を向いて演じていることが多いので、後ろにいる3人とタイミングを合わせるために、背中で気配をうかがっています(笑)」……続きを読む