CrossFireX性能比較
ここからは、CrossFireX構築での3D性能を見ていこう。グラフ16・17は3DMark06の結果だが、今回の計測ではどちらのグラフもAMD 790GXの方が若干高いスコアを記録している。レーン数で言えば、AMD 790GXの方がAMD 790FXの半分となり、むしろ不利なはずなのだが、このようにAMD 790FXを上回る結果となっているのは興味深い。
グラフ18は3DMark Vantageの結果だ。こちらのテストの場合、PerformanceはAMD 790GXが上、Highはどちらもほとんど同等のスコア、ExtremeはAMD 790FXが上という結果となった。高解像度、高画質になればなるほど、データ転送量は増大する。PCIe 2.0 x8の実力をオーバーした、ということも考えられるだろう。
グラフ19がF.E.A.R.、グラフ20がCrysisの結果だ。この2つのテストは似た傾向で、AMD 790GXがAMD 790FXよりも2割ほど良いスコアを記録している。前の3つのテストを含め、現在の3Dアプリケーションでは、よほどのことでない限り帯域的に、PCI Express (2.0) x8レーンで間に合っているのでは、と思わせる結果だ。
まとめ
AMD 790GXは、○○なユーザーにおすすめ、という言い方が難しい。エントリー向けとしてもAMD 780Gより強力なグラフィック機能で1つ上を目指したい方に、Hybrid CrossFireXでグラフィック性能の段階的な強化も視野に入り、HTPC向けならUVD 2の機能に加えACCを静音設定で、ゲーム向けならディスクリートカードと組み合わせればウルトラハイエンドまで拡張できる。広範囲なユーザーニーズを満たせる機能を持っており、さらにそれぞれステップアップしていける、そんな製品と言える。これまでのIGPと違い、ハイエンドも視野に入ることで高TDP CPUをサポートしている点も見逃せない。
とはいえAMD 780Gよりは価格が高くなるので、コストパフォーマンスではまだAMD 780Gに分があるだろう。オーバークロックとベンチマークで記録に挑むとなると、4枚のグラフィックスカードによるCrossFireXが可能なAMD 790FXに分がある。こうしたウィークポイントがあるのは確かだが、逆を言えばそれ以外の用途においては、「(AMD製チップセットから選ぶのであれば)選んでおいて間違いなし」とも言える。欲を言えば、NVIDIAのように、IGPを搭載しながらx16レーンのPCIe x16を2本持つ上位製品も欲しいところだが、まず実用的な性能ではAMD 790GXでも十分と言って良いだろう。