ちなみにこのMemoryの制限が、Xeon向けとなるNehalem-EP(2P構成)や、2009年に登場するNehalem-EX(Boxboro-EX)でも継承されるか、はちょっと微妙なところだ。Unbuffered DIMMに比べた場合、Registered DIMMではもう少しチャネルの数を増やしやすい。実際Nehalem-EPでは3channel×3DIMMが可能になっているわけで、2DIMMの場合では例えばDDR3-1333が可能でも不思議ではないだろう(Photo04)。

Photo04:Nehalem-EPにおけるシステム構成。こちらではRegistered DIMMを使う関係で3DIMM/Channelが可能に。

もう一つ大きなものが、DDR3の電源に関する問題。「Core i7では、Memory Busの電圧は最大1.65Vである」そうで、この瞬間に既存のXMPメモリの使い方が難しくなってしまった。微妙なのは、XMPそのものを否定しているわけではないこと。つまり1600MHzを超えるようなメモリであっても、1.65V以下で駆動される分には問題ないことになる。なので既存のXMP対応メモリも、165V以下で駆動出来る周波数で使われることになるのであろう。これに関してIntelは「我々は全てのDDR3メモリをサポートするとは言っていない」との事。まぁ間違ってはないが、XMPを制定したベンダーとしてはどうか? という気もする。

Photo05:Core 2世代では、こちらに示すとおり、1.75V~2Vで駆動される各種DDR3メモリが"Compatible"とされているが、これらはいずれもCore i7世代ではIncompatible。もっとも公式には電圧(と動作周波数)を落とせば使えるのだろうから、文字通りのIncompatibleではないのかもしれないが。

それにしても今後Core i7を使う場合、Memory Voltageを引き上げてOverclockingという技が使いにくくなるのは事実な様だ。このあたりは、Memory Controllerが外付けだったCore 2世代の方が柔軟性があったのは間違いない。

以下は余談だが、Nehalem-EPではDIMM上にサーマルセンサーが搭載され(Photo06)、これをSMBus経由で取り込んで温度制御できるような仕組みが用意される(Photo07)。もっとも肝心のサーマルセンサーがUnbuffered DIMMには搭載されない模様(少なくともJEDECの標準設計資料では搭載されていない)なので、自作ユーザーには当面無縁の機能とも言えそうだが。

Photo06:ヒートシンクもまた必須となった。あるメモリモジュールベンダーに「どの程度効果があるの?」と聞くと、フルロード時に10℃とは言わないまでも5℃程度は温度が下がるとか。

Photo07:Nehalem-EPとCore i7は同じX58+ICH9/10だから、理論的にはデスクトップでもこの管理は可能な筈である。