GDDR5
Radeon HD 4000ファミリーで公式にサポートされたGDDR5。Samsung/Qimonda/Hynixといったベンダーは最大5Gbpsの製品をすでに出荷開始している(Photo17)。JEDECにおける標準化はまだもう少し掛かりそう(現時点ではGDDR4までしか標準化は終わっていない)であるが、ここに来てちょっとだけ変化が現れている。
以前のロードマップでは、GDDR5は5Gbpsの製品「のみ」をターゲットとしていた。ところが昨年末にSamsungは6GbpsのGDDR5を発表し、今年のISSCCではPaper 14.5としてその技術的詳細を発表している。今回Memcon 08やIDFではこのGDDRについては特に触れられなかったが、現在の議論は6GbpsまでSpecificationに入れるか否か、というあたりのようだ。Samsung/Qimondaなどは6Gbpsに意欲的だが、Hynixなどは「今のところかなり難しい」といったところだそうで、今後どうなるかはまだ不明としている。
ただグラフィックスチップベンダーからすれば、帯域が更に増えるのは性能面のアドバンテージが出しやすいし、製品ラインナップを増やすことにも繋がるから、基本的には前向きという話であった。
LPDDR2
もうこの辺りになると全然IDFに関係なくなってくる気もするが、トレンドのついでにちょっと紹介しておきたい。Intelのロードマップには全然出てこない話であるが、現在JEDECはDDR3Lとは別に、LPDDR2の検討を開始している(Photo18)。
低電圧のDDR2に関しては、上でもちょっと触れたとおり主要なメモリベンダーはFB-DIMM向けに1.5V駆動のDDR2メモリチップを既に出荷しており、実際会場でも「FB-DIMM向けには既に出荷してるよ」という返事が幾つかのベンダーから帰ってきたが、これはまた別の話。なんでそんなものが必要か? という問いに対する答えが簡潔にまとまっているのがこちらである(Photo19)。
Photo19:これはMemcon 08 San JoseにおけるDenaliのプレゼンテーションより。MIDなどの場合、しばしば32bit幅のチップ1つがMCUに接続されて完了、という事がありえる。こうした小規模なデバイスをDDR3で作るのは確かにオーバースペックすぎる気がしなくもない。 |
要するに組み込み用途(Intelで言えばAtomを使ったMIDなどがまさにこれに該当する)を構成するのに、既存のDDR2では消費電力が大きすぎ、だからといってDDR3やDDR3Lでは適さない部分があるため、低電圧のDDR2を新たに策定しましょう、ということだ。勿論通信事業者向けのATCAモジュールなど大規模なものには既にDDR3が使われているケースがあるし、こうしたマーケットはDDR3やDDR3Lで問題ないのだろうが。
そんなわけで、特に携帯電話関連ベンダーを中心に、現在LPDDR2の仕様策定が行われている最中である。来年あたりは、IntelのロードマップにもMID用としてLPDDR2が入ってくる可能性がありそうだ。
おまけ
AMDのCTOを勤めていたFred Weber氏やNVIDIAのCTOを勤めていたMilke Smith氏などが立ち上げたMetaRAM。一種のバンク切替スイッチとして動作するこのチップのお陰で、従来のJEDEC標準を上回る容量を1枚のDIMMで構成できるようになり、結果としてAMDのG3MXは消えてしまい、IntelのAMB2(Nehalem-EX世代で利用されると言われている、Registered DDR3用のバッファチップ)も実際に製品として出てくるか危ぶまれ始めている(Photo20)。
Photo20:依然としてMetaRAM社が技術的詳細を発表していない(WhitePaperのページはcoming soonのままだ)だが、MetaRAMチップはRegistereのBufferとして動作すると共に、Rankの制御をすることで、1Rankあたりの容量を増やすことが可能になる。 |
今回Hynixのブースには、これを使った8GBのRegistered DIMM(Photo21)と16GBのRegistered DIMM(Photo22)が展示されていた。