――それでは「永遠の恋」のPV撮影のときの話を教えてください

「PVの内容については『私のイメージで』っておっしゃっていただいていたので、最初の打ち合わせのときから『今回は絶対にウェディングドレスを着ます』って話をしました。まあこれは皆さんも想像していたことだったんですけど、そこから先のことも、全然悩まずにいろいろな提案が出てきました。まず最初に言ったのは、『恋の炎』のPV映像をセピア調にして、思い出のような感じで挿し込みたい、ということですね。映像でもやっぱり、2曲のリンクを見てほしい、楽しんでほしいというのがあって、あの2人がここまで成長したんだよっていうのは、やっぱり過去の映像を挿し込んだほうが絶対に気持ちも伝わりやすいって思ったんですよ。これは絶対にしたいという話をした後、その次に『ウェディングドレスはレンタルするか、買うか』って話になりまして(笑)。結局は買ったんですよ、ちょっと安く買えたので……」

――PVで着ているウェディングドレスは自前なんですか?

「自前です。いつか本番の結婚式でも着られたらなとか。もったいないので(笑)。エンゲージリングも1人で買いにいきました。2人分。もうこれがサブくて。サブいのはわかっているんですよ。でも、こういうのが楽しくて。相手の方のサイズを聞いて買いに行きました(笑)。ウェディングドレスはネットの通販で買ったんですよ。見に行く時間がなかったのと、普通に店で売っているのは高いので。その通販のときもそうなんですが、やはりウェディングに関することなので、やりとりをする店員の方が皆さんすごく丁寧なんですよ。『このたびは本当におめでとうございます』みたいな姿勢でくるんですよ。なのでこっちも『あ、ありがとうございます』みたいな(笑)。もうそんな感じで言うしかなくて。PV撮影なんてとても言えないので、もうそこは素直に『ありがとう』って言っておこうと思いました。でも最後の最後に『すいません。領収書をお願いします』って……。ぶちこわしなんですけど(笑)、店員の方の対応が、普通のショップさんと比べて本当に丁寧なので、それがよけいにうれしくなっちゃって、もう『私、結婚します』ってくらいに感極まっちゃってましたね。PVではなく、完全に本当の結婚式の準備をしていた感じです」

――もういつでも結婚できますって状態ですね(笑)

「そうですね。後は相手が(笑)。ちなみに、PVの相手役の方は1本目の『恋の炎』のときと同じ人なんですよ。これは絶対同じじゃないとダメってことで。2本目になって急に、相手がお金を持っていそうなヒゲのある年上の人とかになっていたら、『ああ、これが現実なのか』みたいな、変なPVになってしまうので……。セピア色で前の映像を挿し込むって言っているのにね(笑)」

――ちなみに、式場はどこで撮影したんですか

「あれは東京の竹芝の結婚式場なんです。屋根がガラスになっていて、ちょっと開放的なところですね。天気がよかったので、青空が見えてさわやかな感じになってます。式場については、絶対に"白"ってイメージがあったんですよ。教会といってもいろいろあるじゃないですか。ゴシック調だったり、色がついていたりって。でも私の中では、絶対に"白"。純白のドレスを着て、真っ白な式場で、本当に無垢な、白い気持ちで爽やかに撮りたかったんですよ」

――できあがったPVの感想はいかがですか

「かわいくするのって大変だなって思いました。私の場合、演じるというのがあまり好きじゃないんですよ。今、本当に幸せかどうかっていうのを見せたいタイプで、幸せな人を演じるっていうのがあんまり好きじゃないんです。役を演じるのではなく、その人に"なる"っていう感じでやりたい派なんですよ。PVも同じで、榊原ゆいなんですけど、『かのこん』の世界があって、『永遠の恋』の歌詞があって、その中で生きている榊原ゆいでありたい、と。『永遠の恋』だから、ウェディングソングだから、結婚式の榊原ゆいを演じているのではなく、本当に結婚しますっていう雰囲気で撮りたかったんですよ。だから、PVの中にも、『お前いいかげんにしろよ、本当に結婚するんじゃないんだから』って突っ込まれるくらいの表情がいっぱい入っていまして、後で客観的に見てみると『何勘違いしちゃってんだ!?』って自分自身で思ったりもするんですよ(笑)。でも、やっぱりそこは作品として、嘘がないように。もちろん結婚式は嘘なんですけど、できるだけ嘘がないように仕上げたかったんですね。このPVを見て、女の子が『結婚したい』って思ってくれたり、男の子も『結婚って、女の子がこんなに幸せそうになるんだ』とか、『結婚式でウェディングドレスを着ている女の子っていいな』って思ってくれるように、幸せ感いっぱいで作れたと思います」

――大満足の作品といったところですね

「自分の思いどおりのシーンも全部撮れましたし、あと私も頑張ってなりきってますので、まあ自分で納得のいくところまでできたのではないかなと思います。ただ、先ほどもいったとおり、"かわいい"というのは大変だなって。私、エロカッコいいほうならけっこう自然にできるんですけどね(笑)。まあ、『かのこん』シリーズでは、キュートなところを見せようと思っているんですよ。女の子のちょっと小悪魔的なところも入りつつ、ちずるちゃんのように積極的でエロかわいいところも入れつつ、やっぱり女の子としてのキュートさも出したかったんですね。今回のPVは前回の3年後だと思っているんですよ。『恋の炎』はちょうど付き合いたてで、まだぎこちないところがあるんですが、『恋の炎』のカップリングになっているの『Sweet Time』は、『2年目の記念日』って歌詞があるように2年後のお話で、そして今回が3年目くらいかなって思っているんですね。実際は半年くらいしか経ってないんですけど、上手い具合に私の前髪が伸びたこともあって、ちゃんと時が経ったように見えるんじゃないかと。雰囲気も大人になって、やんちゃで積極的な女の子から、ちょっとおしとやかで、『身も心も捧げます』的な感じを出しつつ、最後の最後になってやっぱり積極的な部分が出てきて、ほっぺにチュウしちゃうみたいな。こういった感じで、PVの中にはいろいろと説明しなければわからないところがいっぱいあると思うんですけど、そういう"こだわり"があるのとないのとでは、絶対に何か違うものになってしまうのではないかと。いろいろと言えるところがいっぱいあるのっていいな、こだわりがあるのって楽しいなって思います」

「永遠の恋」がEDテーマとなっているPS2『かのこん えすいー』。ちなみに左が初回限定版で右が通常版のパッケージ

――そういったこだわりもあって、2本のPVはちゃんとつながった作品として仕上がっているわけですね

「そうですね。もう本当に細かいところなんですけど、最後の最後、画面が真っ白になった後、ピンクの文字で『Fin』って出てハートがぽわんと浮かぶんですよ。これは監督の部屋で編集作業をやっているときに、急に私が思いついたんですけど、監督も『ああ、いいっすね』って感じでノッてくれて、その場で作業してくれたんですよ。私の中では、それがあるのとないのとでは大違いなんですね。なかなか『Fin』で締められるPVってないじゃないですか。シリーズだったからこその『Fin』なわけですよ。そしてこれがあることで、見ている人も『幸せに終わったな』っていう気になるじゃないですか。私はもう本当に感覚人間なんで、そういう突発的なことが出ちゃうんですよ。でも、そういったことも全部合わさっていいものになっていると思うので、自分の感性を信じてPVなどは作ってますね」

――今後、「かのこん」にパート2とか、続編とかができてしまうと、ちょっと大変ですね

「そうなったら、『Fin』で終わった次のPVは、『が、しかし』から始まるとか(笑)。次は出産ソングですかね。分娩室の前で、例の彼が落ち着かない感じで待っているみたいな(笑)。まあ、もし続きがあったら、またいろいろと考えますよ」

(次ページへ続く)