――では次の目標は、何か楽器をマスターすることですね |
「最初、ギターを覚えたいと思ってたんですね。でも、ギターってやっぱり難しいじゃないですか。それで、BEGINさんが考えた「一五一会」っていう楽器がありまして、三線とギターを合わせたような楽器なんですけど、それは簡単だっていわれので買ってみたんですよ。私、子どものころ三味線を習っていたので、同じような感覚で"一五一会"もできるかなって。実際に試してみると、"一五一会"は一本指で演奏するということもあって、意外と簡単に覚えられちゃって、ライブでもときどき演奏したりしているんですよ」
――それはすごいじゃないですか |
「でも、楽譜とかは、スタッフの方にわざわざおこしてもらわないとダメなんですよ。楽譜のある曲は何とか弾けるんですけど、チューニングもまったくできなくて……。自分の曲も何曲かはマスターしたんですけど、チューニングができないので、ズれていてもそのまま弾いちゃうんですよ。『よくそれでできるね』って逆に感心されちゃったりします。もうすべてにおいて中途半端というか……」
――子どものころに習っていた三味線はどうなんですか? |
「いや、もうできないです。小さいころにやっていたんですけど、今はもう全然できないですね。とにかく何かの楽器をマスターしたいです。私、"和"の一家に育ちまして、日本舞踊を3歳からやってるんですよ。その流れで、三味線とか長唄を習っていたんですけど、本当はピアノが習いたかったんです……。子どものころピアノを習っていればなって、ときどき思っちゃいますね」
――作詞、作曲については、かなりの苦労をなさっているようですが、結果としてできあがった作品については満足していますか? |
「大満足です。私がイメージしたものよりも良いものに仕上げていただいてますね。『これは違う』とかって思ったことはなくて、常に大満足です。逆に『これ本当に私が書いたんですか?』って思うくらい(笑)」
――それでは、レコーディングの様子などを教えてもらえますか? |
「レコーディングにはいつも編曲のオーノさんが来てくれて、いろいろなことにチャレンジさせてくれます。面白い楽器を急に取り入れてみたり、歌い方ひとつでも曲に合わせていろいろと変えてみたり。たとえば、『ニャンニャン歌い』っていうのがあるんですけど(笑)、『WAVE』という曲のサビの部分などで、リズム感を出すためにひとつひとつの言葉の語尾に全部「ん」を入れていくんですよ。それを私たちは『ニャンニャン歌い』といってます。そのほかもいろいろとあるんですけど、本当にレコーディングではいろいろなことを学んでますね。今ごろ『遅いだろ』って感じなんですけど(笑)」
――逆に自分からこういう風にやってみたいといった提案をすることはありますか? |
「レコーディング前に自分で練習する際は、『今回こういう曲だから、こういう感じで歌ってみよう』とか『そういえば前のレコーディングでこういったことを教えてもらったな』っていうのを思い出しながら、カセットテープに録音するんですよ。そして、録音した歌を聴いて、この歌い方のほうがいいかなとか、ここはこうしたほうがいいかなっていうのを自分なりに研究してます。そしてレコーディングのときは、まず自由に歌わせてもらうんですよ。それを聴いてもらってから、いろいろなアドバイスをもらって、また自分なりに考えて……の繰り返しですね。とにかく以前学んだものを次に活かす、ということをいつも心がけてやっています」
――今回のアルバムには、『メモリーズオフ6』のオープニングテーマが収録されていますね |
「そうなんです。2曲目の『Triangle Wave』は、久しぶりに志倉千代丸さんに書いていただた曲なんですけど、実は私『メモリーズオフ』の本線の曲を歌わせていただくのって初めてなんですよ。すごいうれしくて、びっくりしちゃって、夢じゃないのかなって思うくらいで。志倉さんの曲は絶対に格好良いので、かなりのプレッシャーにもなったんですけど、すごく気持ちよく歌わせていただきました。ちょっと切ない曲なんですけど、ライブで歌うとすごい楽しい曲です」
――『Myself;Yourself』の曲はキャラクターソングですが、このあたりは村田あゆみというよりもキャラクターに合わせた感じで歌っているのですか? |
「『Myself;Yourself』では、持田雛子ちゃんという役で声優をやらせていただいてまして、この曲は彼女のキャラクターソングなんですが、もう雛子ちゃんのキャラクターをそのまま出そうと思って歌ってますね。私はこれまでキャラソンでも、キャラクターの声でそのまま歌うことってあまりなかったんですよ。それで、今回はかなり意識して雛子ちゃんの声で歌ってみたんですけど、途中でやっぱり村田あゆみに戻っちゃってるんですよ(笑)。雛子ちゃんてアニメでは最終的に大人になるので、それはそれでアリなのかなって思ってますけど、よく聴いていると年齢がドンドン上がっていくんです(笑)」
――自分が演じているキャラクターのキャラクターソングを自分で作詞、作曲するというのは結構珍しくないですか? |
「そうですね。とてもうれしかったの同時にすごく大変でした。雛子ちゃんのイメージを壊しちゃいけないと思って。この曲の歌詞は雛子ちゃんのすべてを表現したつもりなんですけど、書いてみてすごく恥ずかしくなっちゃって……。それで、タイトルも『はじめてのKiss』だけじゃ恥ずかしくて、『?』をつけて、さらに『(#^.^#)』て顔文字まで足しているんですよ。この顔文字で『テレ』って読ませているんですけど、誰もわからないですよね(笑)。もう恥ずかしいから、『テレ』って付けてごまかそうって思ったんですけど、カタカナで『テレ』って書くのはちょっとどうかなって思ったので、顔文字にしちゃいました」