数々のTVアニメやゲームのテーマソングを担当し、声優としても活躍中の村田あゆみ。そんな彼女の18カ月ぶりとなる3rdアルバム『PolePole!(ポレポレ)』が7月30日に発売された。そこで今回、ニューアルバムの話は中心に、作詞・作曲や声優の仕事、現在の心境など、村田あゆみ本人の言葉をじっくりとお伝えしよう。
村田あゆみが語る「PolePole!」
村田あゆみ (むらた・あゆみ) |
――3rdアルバム「PolePole!」が発売となったわけですが、今回のアルバムはどういった感じに仕上がったと思いますか? |
「まず『PolePole!』という題名は語感で決めたんですよ。『耳に残るんだけど、聞いただけでは誰も意味がわからない言葉』、そういうのがいいかなって思って。『何それ?』って思うんだけど、でも口ずさんじゃうみたいな(笑)。それで打ち合わせのときに提案してみたら、スタッフの方が調べてくれて。そうしたら、スワヒリ語にたまたま「ポレポレ」っていう言葉があったんですよ。意味は『ゆっくりゆっくりと』とか『のんびりのんびりと』といった感じなんですけど」
――たまたま「ポレポレ」という言葉が見つかったわけですね |
「本当に偶然です(笑)。意味が変だったらやめていたと思うんですけど、すごく私にあっている意味だったので、その場で『PolePole!』にしますって決めちゃいました。それからアルバムの制作に入ったんですけど、今回のアルバムは18カ月分ためていた曲に、新曲を加えて構成していまして、非常にバラエティに富んでいるというか、いろいろな曲調のものが揃ってますね。『幕の内弁当』みたいな感じです。でも、アルバムのタイトルが『PolePole!』ですから、『のんびりのんびりと』といった感じで、全体的なまとまりなどは考えなくてもいいのかなって。全体を通して、この18カ月間の村田あゆみの成長をみていただけたらいいなって考えてます。18カ月というと、少なくとも1才は歳をとっているわけですよ(笑)。なので、少しだけ大人になった村田あゆみを、聴いていただいた人に感じてもらえたらいいですね。今回のアルバムは制作にもたくさん関わらせていたいだいているので、すごく勉強にもなりましたし、自分の中では大満足の作品になっています」
――18カ月で1枚のアルバムというと、順調なペースといってよいのではないでしょうか? |
「そうですね。確実に1年ちょっとずつでアルバムが出せているのは、すごくうれしいことです。これまでのアルバムは、ストックされたものをまとめて、1曲プラスするぐらいの内容だったのですが、今回のアルバムは新曲が5曲も入ってまして、すごく充実した盛りだくさんの内容になっています。ただ、アルバムを作っている時期に、ちょうど舞台のお稽古が重なっていたので、新曲を練習する時間がなかなか取れなくて、レコーディングはすごく大変でした。お稽古から帰る車の中で熱唱したりしてましたね(笑)。でも、そういうときだったからこそ、ちょっとでも時間が空けばアルバムの制作のほうに顔を出すように心がけていました。今回はトラックダウンやミックスなども全部参加させていただいたので、大変勉強になりました」
――今回のアルバムは、ご自身で作詞や作曲をした曲が収録されてますね |
「作詞、作曲の両方が3曲と、作詞だけの曲が1曲ですね」
――自分で曲を作るのはいかがですか? |
「いやもう恥ずかしいですね。私、楽器がダメなので、ICレコーダーとかに鼻歌で曲を録音するんですよ。それを人に聴かせるのが本当に恥ずかしくて……。たぶん音とかもあってないんですよ。世の中に存在しないような音で歌っているんじゃないですかね(笑)。もうそれは人様にお聴かせできるレベルじゃないくらいです。はじめて『さくらいろ』という曲を書かせていただいたときなんか、恥ずかしくてなかなか渡せませんでしたね。制作スケジュールなんかもあって、いい加減聴かせてくれないかっていわれたときは、汗がダラダラと……。1リットルくらいかいているんじゃないかっていうくらい汗をかいちゃいましたね。聴いてもらっている間は、トイレに閉じこもっていたくらい恥ずかしかったです」
――歌詞を見せるのは恥ずかしくないですか? |
「歌詞は自分の心の中というか、気持ちを書くわけですから、それはそれでめちゃくちゃ恥ずかしいです。でも、私にとってはやっぱり曲を鼻歌で渡すことのほうが恥ずかしいですね。詞のほうはもうふっ切れちゃうんですよ。『別に私の本当の気持ちじゃないから』って。本当は自分の気持ちなんだけど、『違うから』って(笑)」
――そう思わないと、作詞ってけっこうやり切れないところってありますからね。では、鼻歌でなければ、曲も恥ずかしくないかもしれませんね |
「そうかもしれないですね。たとえばピアノとかが弾けたら、もうちょっと気楽に、人に聴かせられるのかなって思います。やっぱり鼻歌だと……。確実に音とかも外れてますしね。ピアノは弾けないんですけど、自分でメロディを作ったときは、一応電子ピアノとかで音を探してみるんですよ。それをつなげて録音すればいいんじゃないかって思って。でも、音を探す行為自体にとんでもなく時間がかかって、作業が全然進まないんですよ。すごい時間をかけてるのに1曲も仕上がらず、もういいやって思って、結局"鼻歌"の曲を渡すことになっちゃいます……」
――今、パソコンで鼻歌から楽譜を作れるソフトとかもありますよね |
「そうなんですよ。実は私もそれを買ったんですよ。高いお金を出して(笑)。パソコンも得意じゃないんですけど、がんばってインストールして、マイクもわざわざ買ってきて。でも、ぜんぜんうまくできなくて……。音がまったく違って、私が作りたい曲じゃなくなってしまうんですよ。たぶん音符とかが理解できれば、微調整して仕上げたりできるんでしょうけど、それすらもわからなくて……。すごいお金をかけたのに、それっきり使ってないです。本当、すごいムダですよね(笑)」