自作向けSpursEngine搭載カードが近日登場!?

──SpursEngineは今のPCのコンテンツが余裕でこなせる性能があると思いますが、今後のPCコンテンツはさらにヘビーになってくると予想して作ったのでしょうか?

的場 そうですね。同じH.264動画でも、今後はビットレートが上がる方向と下がる方向があると思います。高ビットレートの映像が普及したら、PCでの編集やトランスコード処理にもっと時間がかかります。現在は10Mbps程度が標準だと思いますが、20Mbps超になっても対応できるようにしないといけません。また、高画質のHD映像がストリーミングで観られるインターネットのサービスが今後増えてくるでしょう。そうした映像はビットレートが低めだと予想されますが、SpursEngineで、さらにキレイに表示させたいですね。これはまだ対応していませんが、今後のサポートは考えています。

──では、現在のQosmio G50は、何年先までのコンテンツに対応できると思いますか?

的場 ハードとソフトの成長は連動するので、他のPCが何年後に追いついてくるかという感じですね。そう考えると、まあ、5年は追いつけないんじゃないかと思います。この5年間のCPUの性能をみると、デュアルコアになったりしましたが、パフォーマンス自体は30~40%程度しかアップしていないですよね。だから、5年後も2倍3倍の成長を望むのは難しいでしょう。かつ、Qosmio G50と同じ処理能力があるPCが出たとして、CPU使用率が100%になるようでは実用できませんからね。ことAV関連の機能でいえば、相当先を行っていると言っていいと思います。

──では、SpursEngineを他社に供給したり、外付けカードを市場に投入するという予定はないと。

的場 東芝セミコンダクター社経由で、そうしたデスクトップPC用のSpursEngineカードを出荷することは考えています。自作CP用のカードは、ボードメーカーさんと色々協力して出すことになると思いますね。秋葉原に並ぶ日も、結構近いんじゃないでしょうか。価格は分かりませんが、ミドルクラスのグラフィックスカード程度になると思いますよ。

──それは反響を呼びそうですね。自作マシンで、高速なトランスコードができるわけですね。

的場 どちらかというと、Qosmio G50を買ってほしいですけどね(笑)。でも、PCマニアの方に向けた面白いプロセッサーになると思います。デスクトップPCで試していただいて、ノートもほしいと思ったら、是非Qosmio G50を買って頂ければと。

根岸 ただ、アプリケーションは自作用のカードには乗らないものが多いと思います。

的場 だから、対応DVDソフトとか、色々なメーカーさんからたくさん出てくれるといいですね。

SSD搭載Qosmioが登場する可能性高し

背面まで美しく作り込まれている

──では、Qosmio G50の進化点について。18.4型ワイド液晶を搭載された理由を教えてください。

根岸 液晶テレビと同じ16:9のアスペクト比を実現したかったのが理由です。DVD再生時、液晶がフルに使えるので、17型ワイドと比べてもひと周り大きく表示できるようになりました。

的場 今後は16:9がPC向けワイド液晶のスタンダードになると思いますしね。

──しかし、それでいて横幅が17型ワイドの前モデルにくらべて1cm強しか増えていませんね。

根岸 そうですね。前モデルは液晶フレームの両サイドのスピーカーを搭載していたので、それをカットしたのが大きいです。また、液晶のインバーターや蛍光管の配置を工夫して狭額縁にしたのもありますね。ただ、輝度は300カンデラと、従来よりも明るくなっています。

──液晶パネルのクォリティは、御社の液晶テレビと同等ですか?

根岸 輝度は正直、テレビのほうが明るいですね。テレビはPCよりも奥行きに余裕があるので、蛍光管をたくさん入れることができるんです。PCは限られたスペースしかないのでそのなかでいかに明るく見せるかが難しいですね。しかし、色純度はQosmio G50/F50ともに90%以上となっているので、場合によってはテレビより優れているかもしれません。

──なるほど。では光学ドライブについてですが。Qosmio G50はDVDスーパーマルチを搭載していますが、今後次世代DVDドライブを搭載する予定はありますか?

的場 今のところ、計画はないですね。次世代DVDのメディアはまだそれほど多くのないので、それよりはDVDソフトをキレイに映すというのを先にやったほうがいいと思っています。そのうち、媒体としてSDカードやSSDが使われる可能性もありますし、そういった将来のものを先取りして動く方がいいんじゃないかと。

──そのSSDですが、今後Qosmio G50に採用する計画はありませんか。OS用のSSD、フォルダ用にHDDというような。

的場 もちろん、計画としてはありますよ。Qosmio G50はHDD用のスロットが2つあるので、今後片方をSSDにするという構成も充分あり得ます。実際、将来はSSDのようがHDDよりも単価が安くなる可能性も高いですから。

──では最後に。64bit OSへの乗り換えの予定はどうでしょうか? 現在の32bit OSのままではメモリ容量は3GB強で限界が来てしまいます。

的場 そこはもう需要次第ですね。海外のほうでは64bitOSを搭載したモデルも発売しているので、日本の市場が64bitに変わってくれば、いつでも売り出せます。特に米国は、今メモリの容量で各社が競い合っています。価格は安いんですが、メモリは4GB以上搭載あるんですよ(笑)

根岸 日本市場で64bit OSを導入するには、対応アプリケーションの問題がありますね。たとえば、デジカメに付属するソフトは、今も32bit OS限定のものが多いですから。そういった状況が変わってくれば、64bit OSがたくさん出てくると思います。