――監督といえば、業界でまことしやかに流れている都市伝説があって、現場で演出するときに、「そこはケロニアみたいに演ってください」って言ったら、俳優さんが「ケロニアって何ですか?」と真顔で聞き返してきたという……。

「そりゃあホントですね。だからその、いわゆる内輪のね、スタッフは分かってるということで(笑)。あえて内輪だけに言ってるだけであって、ホントに俳優さんには言いませんよ(笑)」

――なるほど、理解してくれる相手には、それで通じることもあると。

「分かってる人たちが多いってことですよね。まあ、頭のいい人たちが多いと。あえてオタクと呼ばないで、"知識量が多い人が多い"という」

――実際には、どなたにおっしゃったんですか?

「まあ、それは破李拳竜くんですよ。"ここは、アーストロンで"。"はい、分かりました"(笑)」

――今回、スーツアクターとしてギララのぬいぐるみを着られたのが、破李拳竜さんなんですね。

「そうですね。だから今回も、"ここは、ネロンガの何で"とか、"ガヴァドンみたいに振り回してくれ"。"分かりました"(笑)。暗号ですよ(笑)」

――俳優さんたちも、かなり豪華な顔ぶれがそろったように思いますね。

「いやもう、最初から狙ってたんで。主演はね、若い人たちに人気のある2人。加藤夏希ちゃんと加藤和樹くんで。そうしないとね、若いお客さんは来てくれないし(笑)」

――そして、脇を固める方たちも……。

「黒部進さん、夏木陽介さん、古谷敏さんはもう憧れの人なんで押さえると。あと、サブカルな趣味のお客さんに向けてはね、みうらじゅんさん、リリー・フランキーさん、水野晴郎先生っていう感じですね」

――さらに、各メディアで盛んに取り上げられているのが……。

「ザ・ニュースペーパーですね。彼らに出てもらえば、ワイドショーが取材に来てくれるしね(笑)。そりゃ狙いですよ。だから、あらゆる層に向かって狙ってますから」

――テーマ音楽を聴かせていただきましたが、なにかどこかで聴いたような気がして仕方がないんですが……。

「これは福田裕彦さんていうね、音楽家の人が(笑)。よく分かってらっしゃるんで。"伊福部昭でやってくれ"という(笑)。しかもマーチ。で、ブラスでね。あのメインテーマ作っただけで、もうこの映画は"いいや"っていう感じですよ。あれにはこだわったから」

――スタッフで、もうお一方、造型は品田冬樹ですね。

「そうですね。昔からの仲間で、怪獣職人、怪獣マエストロなんで。もうすばらしいですよ」

――ちなみに7月26日の全国公開に先がけて、北海道では先行上映されているんですよね。評判はいかがですか?

「舞台挨拶に行きました。もうヒットですよ。『スピード・レーサー』抜きましたから。初日だけ(笑)」

――とりあえず、北海道の成果は上々だと。

「もちろん普通に入ってますよ。で、7月26日、ホントの公開ですからね、全国規模で。これはでかいんで、なんとか入ってもらわないと」

――公開に先立って、全国を回られたんですね。

「キャンペーンで北海道、名古屋、大阪と。いやー、ホント疲れました。こんだけメディアに出ると。テレビ、ラジオ、雑誌……」

――そちらのリアクションは、いかがですか?

「かなり大阪が盛り上がってるんですよ。大阪、名古屋はバカな映画好きだから(笑)」