『ウルトラマン』と『若大将』シリーズをこよなく愛する日本一のスチャラカ監督、河崎実監督がついに本格怪獣映画のメガホンをとった!! 松竹唯一の大怪獣ギララが7月26日(土)、ついに全国のスクリーンで蘇る。謎のベールに包まれていたビートたけし演じるタケ魔人の活躍はいかに?!

河崎実監督

――今回、この映画をお撮りになるに至った経緯をうかがえますか。

「2006年に公開された僕の映画『日本以外全部沈没』を観た松竹さんのプロデューサーの方からお話があったんですよね」

――それは、いつごろのお話ですか?

「公開された何カ月か後のことですね。とりあえず、『ギララ』なんとかならないですかね、って話でね」

――なぜ、監督にオファーが来たのだと思いますか。

「それまで、何回も『ギララ』復活の話はあったんだけれども、怪獣映画ね、やっぱりお金がベラボーにかかるんで。まあ、早く安く楽しい映画を作る私のところへ話が来たという(笑)」

――怪獣映画を1本製作するのに5億円かかるという声も聞きますね。ビートたけしさんが出演なさるというのは、どういった経緯ですか?

「まずね、三池崇史監督が『大魔神』を撮るという話を聞いて、『日本以外全部沈没』の前に『タケ魔人』ていうのをやっちまおうと、便乗でね(笑)。たけしさんのオーケーももらって。ただ、冷静に考えたら、ムリなんじゃないかって。お客さん観に来てくれないだろうと(笑)。そのうちに『ギララ』が進んでってね、洞爺湖サミットっていうのも足して、サミットに便乗っていうことは決まったんです。しかし、ギララがサミット会場に現れて、右往左往するのはいいんだけど、倒すためにどうすんだと(笑)」

――そこで、かねてから検討なさっていた……。

「タケ魔人を隠し球で入れとこうというね。シークレット状態で。それが一番効果的だろうと。オフィス北野さんと相談してね。それでこうなったんですよね。だから非常に長いんですよ、紆余曲折が」

――ギララに対抗するのにタケ魔人をぶつけると……。

「『ゴジラ』第1作以外みんなそうでしょ。アンギラスとかね、『ゴジラの逆襲』で。それにキンゴジ(『キングコング対ゴジラ』)でしょ。モスゴジ(『モスラ対ゴジラ』)。結局、怪獣映画ってプロレスになるんですよね。サンダ対ガイラ(『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』)もそうだし。ぶっちゃけ、それが楽しいんで(笑)」

――タイトルで『ギララの逆襲』と謳ってはいますが、続編ではないと。

「続編はムリですね。いろんな縛りがあるし。それはもう最初から不可能だと。パラレルワールドでいいや、というふうに最初から思ってましたね」

――監督初の本格怪獣映画ということになりましたが……。

「『ゴジラ』と『ガメラ』以外は、みんなマイナーだから。しょせん、一般の人にとってはね。それはかえって好都合で、『ギララの逆襲』っていったときに、なんか分かんないやつが、また帰って来るってことじゃないですか。それは全然いいんですよ。だからマニアの人たちは観に来るんで、ぶつぶつ言いながらも。『なに、河崎、バカなことやって』って。で、観に来てほしいんですよ、悪口言いながら(笑)」

――先ほど、サミットに便乗して、というお話でしたが、世情を反映なさったわけですね。

「怪獣映画に限らず映画っていうのは、時代を象徴するもんなんでね。そうしないと当たったり、社会現象にならないじゃないですか。今回、朝日新聞の社会面に出ましたからね、『ギララ』が(笑)。そういう意味じゃ、かなり成功ですよ。時代性を象徴したというね。強引に」

――初代『ゴジラ』にしても、第五福竜丸事件と関わりがありますよね。ところで、あくまでタイトルは『危機一発』であって、『危機一髪』ではないんですね。

「これは水野晴郎先生の名づけられた『007 危機一発』へのオマージュです。最初は『洞爺湖サミット大爆破』にしようと思ったんですけどね(笑)。『新幹線大爆破』っていうのもあったし。でも、それはちょっと上映できないんじゃないかって(笑)」

――実際に監督をなさってみて、いかがでしたか?

「今回ホントに予算もタイトで、普通あり得ないんだけどね(笑)。オレ以外できないんですよ。この予算枠でいろんなライブ映像とか使いながらというね。まあ、それをあえてやってみたんですよ。怪獣映画作るのが子どものころから夢でしたから」