「液晶ペンタブレット」とは、文字通り「液晶のあるペンタブレット」である。なんて説明をすると、それまで理解していたのになんだかワケがわからなくなってしまうような気がするが、要は「液晶ディスプレイに直接描き込むような感覚で操作できるペンタブレット」ということだ。タッチスクリーン機能対応の液晶ディスプレイではなく、もちろん「駅長ペンタブレット」でも「チキショーペンダント」でもない。タッチスクリーン対応液晶ディスプレイと液晶ペンタブレットが異なるのは、以下の2点である。

右下のペンを使って操作する。見た目は液晶ディスプレイと同じ

  • 筆圧感知対応の有無
  • 寝かせて使えるかどうか

厳密に言えばもっと違いがあるような気がするが、まあこんなもんだと思っておけば間違いはない。前者の筆圧感知とは、ペンで描く(押す)強さを段階的に検知する機能で、グラフィックツールなどで線の強弱をつけるのに役立つ。後者に関してはペン操作時の快適さを左右する要因で、傾けられる角度や液晶の視野角(正常に見える範囲)が関係する。液晶ペンタブレットを評価する際、この2つが重要な点なのだ。

ドでかい大迫力の液晶をチェック!

まずは、液晶部分から見ていこう。画面サイズは、19型ワイドWXGA+(1,440×900ドット)。デスクトップの液晶ディスプレイなら一般的なサイズだが、液晶ペンタブレットとしては極端にデカい。

現在の市場では12.1型ワイドで14万円前後、15型で9万円台後半のラインが主流だ。21.3型という超巨大サイズの液晶ペンタブもあることにはあるが、26万円前後とプロでもなければとても買えない値段である。19型ワイドで実売13万円前後なら、お買い得と言わざるを得ない。

それに伴い本体サイズも433(W)×24(D)×356(H)mmと大きく、机上のスペースの大部分を占有してしまう。イメージ的には、デスクトップのフルキーボードを上下に2個並べたくらいの大きさだ。ちなみに、偶然ワコムの15型液晶ペンタブ「DTI-520U/G」があったので、並べてみた。ウ~ム、デカい。

左が19型ワイドの「PTB-TMW19B」で、右が15型の「DTI-520U/G」

最大限にまで寝かせたい状態。スペックではチルト角5~65度とあるが、思ったより傾斜がある

「PTB- TMW19B」では、液晶の角度を5~65度に調整できる。試しにもっとも寝かせた状態で使ってみたところ、意外に傾斜がキツく感じた。やや腕を持ち上げるように使うので、長時間使っていると疲れてしまうかもしれない。ヒジまでべったり液晶に置いてしまえば、多少緩和されるのだろう。傾斜のついた机で絵を描く人にはまったく問題はないハズ。個人的な感想だが、傾斜角に関してはより寝かせられる「DTI-520U/G」の方が好みではある。

「DTI-520U/G」(右)との角度比較。下を向いて書くことが多い筆者としては、より寝かせられる「DTI-520U/G」が好み

本体を支えるスタンド部分。レバーで角度を固定できるが、乱雑に扱うと締め具合が甘くなってくるようだ

カタログでは、PTB-TMW19Bの視野角は水平170度、垂直160度となっている。実際に使ってみたところでは、多少視野角の狭さを感じた。問題なく使えるレベルなのだが、画面の上部がやや暗く見えたのだ。また、液晶の明るさを下げると視野角は激減し、グレーの部分がピンクに見えるなど問題が起きた。19型ワイドで全方位からのクリアな表示を求める方が酷かもしれないが、購入を考えているなら実際に確認することをオススメする。

液晶ペンタブの多くには、出力用のRGB端子が用意されている。もちろんPTB-TMW19Bにも用意されていて、RGB出力の液晶ディスプレイを接続可能だ。液晶が2つあるからといってデュアルディスプレイになるわけではなく、表示内容はまったく同じ。マウスで操作するときは、液晶ディスプレイ側を見た方がいいだろう。ちなみに、本体裏面のボタンで、RGB出力のオン/オフを切り替えたり、液晶のメニュー画面を呼び出したりできる。

RGB出力端子を1個用意。ほかの液晶ディスプレイと同じ内容を表示できる。上の端子はステレオ端子だ

本体裏面のコントロールボタン。電源ボタンやメニューボタン、RGB出力の切り替えボタンなどが用意されている