消費電力
ただ、やはり気になってしまうのが消費電力だ。処理性能はコスト比で納得行くものだとしても、140W TDPと聞くと身構えてしまうのが正直なところだろう。では実際の消費電力はどの程度なのかを見てみたい。
以下のグラフは「ワットチェッカー」を用いてシステム全体の消費電力を計測した結果をまとめたものだ。省電力機能はONにしてあり、Idleの項目はOS起動後の何もしていない状態、Loadの項目はCINEBENCH R10のRenderring Multiple実行中のピーク値である。消費電力の上昇幅をわかりやすくするため、それぞれのCPUでIdle時とLoad時の差も別グラフでまとめた。
異なるプラットフォーム間での比較であるため、CPU以外の消費電力の違いも考慮しないといけない環境ではある。ただ、消費電力(2)のグラフで示す消費電力の上昇幅が群を抜いて高いことからも、Phenom X4 9950 Black Editionの燃費の悪さが目立つ結果となってしまった。この"ホット"な現実について、冒頭でも述べたが、ハイエンドユーザーなら処理性能の向上のために許容できるのかもしれない。一方で、何も考えずに購入するとこれはちょっと苦労するかもしれないというレベルだ。
さて、せっかく買いやすい価格帯で発売されたにもかかわらず、従来モデルよりも扱いが難しくなってしまっているのはちょっと勿体無いと感じる。しかしながら、そもそも普通のCPUでは無い"Black Edition"なのだし……これまでのAMDの製品投入パターンから予測し、コアのリビジョン変更などで度々施される改良にワクワクしながら、既にAMDプラットフォームの最新環境がある程度揃っているユーザーのアップグレードパスとして楽しまれる製品、というのがPhenom X4 9950 Black Editionの正しい姿なのかもしれない。