机の上に置いて動かしていると、そばを通る人の目を自然に引き付けてしまうようだ。特に女性にはウケがいい。思わず手にとって「これ何? かわいい~!」という反応が返ってくる。何に似ているかと聞くと、「化粧ポーチに液晶を付けたようだ」と答えが返ってきた。

化粧ポーチとはほとんど双子のようだ

Chumbyからは、電気製品と違った、「やわらか戦車」のような脱力感や、ユルユル感が漂い出ているような気がする。最新ハイテク機器の放っているちょっと近寄りがたい冷たく固くクールな印象とは正反対だ。そのあたりが誰にでも受け入れやすい理由だろう。

正直なところ、Chumbyは何かと聞かれてしまうと説明に困ってしまう。「目覚まし時計でデジタルフォトフレームで音楽プレーヤーでネットラジオ」というのは分かりやすいが、その機能の一面しか説明していない。

「Flash Lite 3が動作するネット接続されたウィジェットマシン」というのでは、具体的に何ができるのか分からないし、携帯電話やPSPなどのような携帯型ゲーム機とどう違うのかうまく説明できていない。

「新しいネット家電のプロトタイプのようなものかな」というのが自分でしっくり来る答えなのだけど、これでは何のことやら皆目分からないだろう。

ジークスによる日本語版発売の案内

でも、使っていると、その「よく分からない」ところが、Chumbyの最大の魅力であり、面白さではないかと思えてくるのが不思議だ。多くのギークを引きつけるのも、そういう所なのではないだろうか。

近頃開催されたINTEROP TOKYOにて、ジークスによる国内での発売予定が公開され、ニュースに敏感なユーザーの間でもChumbyの注目度が高くなってきている(ジークスによる日本語版発売の案内)。そこには、PCや携帯電話を使ったネット生活の面倒くささを解消し、ネットをより実生活で身近なものにしてくれる機械への静かな期待が感じられる。

Chumbyの未知の可能性が、いったい何であるかというのは、このレポートを読んでいただいた上で、みなさんの判断におまかせするとしよう。

パッケージに見る"おもてなし"

まずはパッケージを開けるところから紹介を始めよう。

Chumbyは、2月末から一般への販売が始まっているが、いまのところアメリカのみでしか入手できない。どうしても手に入れたい場合は、代行業者などを通じて個人で輸入をする必要がある。記事執筆時点ではジークスによる販売の詳細は決まっていないようだが、日本での発売が待たれるところだ。

アメリカから送られてきたChumbyは、パッケージからわくわくさせてくれる。製品一式は、麻の巾着の中におさめられている。このようなパッケージでの演出は、Apple製品の"おもてなし"に通じるところがある。

製品は、麻の巾着に入っている

巾着の中は、家電品とは思えないシンプルさ

おまけのチャーム(キャラクタ・ストラップ)

巾着の中には、本体、さらに小さい巾着に入ったACアダプタ、導入マニュアル、青い巾着に入ったチャーム(キャラクタ・ストラップ)が入っている。

マニュアルは見開きの半分がイラストの簡単なもので、初期設定までの方法が書かれている。ACアダプタにもChumbyのロゴが描かれている。こういうところにも、コストを度外視した開発者のこだわりが感じられる。

Susan Kare氏のWebサイト「Susan Kare - User Interface Graphics」。GUIデザインに興味がある方なら、一度は見ておくと良いだろう

チャームは、気に入ったものをChumby本体に付けて使う。チャームは5セットあり、残りはオンラインショップで購入できる。

このシンプルかつ愛嬌のあるキャラクタたちが気になったので調べてみると、初期のMacで使われたモノクロアイコンやビットマップフォントをデザインした、Susan Kare氏によるデザインだった。Kare氏は、Chumbyのユーザーインタフェースやサイトのデザインも手がけているようだ。巾着やチャームなどのアイディアも、Kare氏によるのものかもしれない。